侍女達の独り言
閑話として書いてみました。
侍女達がリヒトールを人間じゃない決定した事件とか書いてみたいですね。
旦那様からお呼びがあり、急遽、ブリューダル王国にあるマクレンジーの屋敷にやってきました。
名前はパトリシア、侍女をしてます。
私の他にも、セシル、キャサリンと3人で呼ばれたんだけど、びっくり!
「妻のシーリアだ、君達は侍女と警護として付いてもらう。」
若い、若い、そしてとんでもなくキレイ!!
奥様付きって出世よね!!
お給料アップ! 3人で顔を見合わせて、にんまりしちゃいました。
「シーリアです、よろしくお願いします。」
にっこりほほ笑む奥様はお人形さんのようです、無表情の旦那様の横にいるとよけいに天使に見えます。
旦那様は、2週間前ヒステン王国のマクレンジー本邸を出た時は独身だったはず、現状についていけない、この奥様儚さそうだけど大丈夫かな、旦那様は結婚にはむかない人だと思う。
「リヒト様の朝のお見送りに行きたいの」
真っ赤な顔で、シーリア様が言われますが、お昼ぐらいまで、ベッドの住人になってるじゃないですか。
こんなこと言われて、旦那さまが頑張るのわかっちゃいます。
たしかに、見目はいいし、お金はあるけど、あんなに恐い人のどこがいいかわからない。
シーリア様なら、どんな男でもイチコロでゲットできたでしょうに。
「リヒト様は何も教えてくださらないの、でもそれじゃいけないのよ。
私もリヒト様を守ってあげたいの、とても大変なお仕事なんですもの。」
なんですとーーー!
シーリア様の担当は癒しです、旦那様の愛玩動物です!
私はセシル、マクレンジー商会の会長のお屋敷で侍女をしています。
得意は、レイピア、力がなくてもスピードで勝ちます。
会長はとんでもなく恐い人です、
人間の感情なんて持ってないと思わざるえないような現場をいくつも見てきました。
「初恋なの、ずっと好きだったの、きゃぁ。」って、奥様。
マクレンジー邸で恋話をする日が来るなんて。その対象が旦那様なんて。
女神か天使様かのような奥様と悪魔のような旦那様、お互いないものに惹かれるんでしょうか。
たしかに旦那様はもてます。
100人の女性がいたら、99人は、旦那様はお金にしか見えないと思いますよ。
奥様は貴重な一人です。
昨日、屋敷に子供が入ろうとして警備の兵達に捕まったのを奥様が見られました。
「兵に子供を放すように言って欲しい、私はこの屋敷にいる姿を見られるわけにいかないから。
きっと、お腹がすいていたのよ。兵士の方達はとても理性的に対応するのね。
それと、兵の人に屋敷を守ってくれてありがとうと伝えて欲しい。」
ただのお嬢様ではないみたいだ。
奥様付きのキャサリンです。
輝くプラチナブロンド、大きな紫の瞳、きめ細やかな白い肌、小さな口、長い手足にくびれた腰。
これは籠の中で飼わないとダメだろうってぐらい、美しい奥様。
「リヒト様、お願いがあります。」
「おねだりとは、うれしいですね。」
「明日、街の様子を見に行きたいのです。
革命中で危険ということは、わかっておりますが、リヒト様のしていることを知りたいの。」
「それは無理だ。」
旦那様の低い声にちびりそうです。この先を何度も見てきた、怖ろしい場面を。
首が吹っ飛ぶというのも見た、骨を切るって大変なので首ってゴロンと落ちるんですが、吹っ飛ぶですよ、旦那様は意外にも剣の達人なのです、これだけ恨まれて生き残ってるんだから。
「リアにかすり傷一つでも許せないのに、危険とわかっていて出せるわけなかろう。」
「リヒト様、危険とわかっているなら対抗策を取れます、リヒト様の許してくださる範囲でいいのです。」
奥様の紫の瞳は、旦那様の底なし沼のような瞳に負けてなかった。
「面白い、リアは何が知りたいんだ?」
「何を知らないか、知りたいのです。」
折れたーー。旦那様が折れた。
「護衛の侍女の側から絶対離れないように、下町の方にはいかない。街までは偽装した馬車で行く、街の食べ物を口に入れない、髪を隠すようにフードをかぶる、靴は歩きやすいものにする、時間までに戻ってくる、・・・」
まだあるんですか旦那様、幼児のお使いのごとく注文をつけてる。
奥様は、はいはいと殊勝に頷いているが、聞き流してるのがモロバレです。
惚れた方が負けというのが、旦那様にも当てはまるなんて思いもしませんでした。。
奥様に注意をすることを諦めた旦那様は背後にブリザードを背負って、私達に指示して来た。
もちろんです、奥様に傷一つ付けません。
私達侍女3人を連れて出かけることを許可された奥様、ウキウキで洋服を選んでます、しかも旦那様から言われたことすでに忘れてる雰囲気。
美味しいものあるかしら、なんて言ってる、奥様って何者なんだろう。