うん?今度は薬剤師と2人っきりなんですか?
レイブン君……ぁあもうめんどくさい……レイ君でいいや。とにかく弟と別れ校舎で絶賛迷子なうです。というのも、どうやらこの後カッシアはお友達と約束をしているという衝撃の事実をシル様から聞きましてですね。まぁなんでシル様がカッシアの予定を把握しているのか聞きたいところでしたが、それは、後回しにしてお約束の地へと行こうとしたのです。でも、どうやら私には校舎の見取り図が記憶されていないようなので、迷いました。フワフワと浮かんでいる小さな方に導かれるまま歩いていたのが悪いのでしょうか?ウロウロとしている私が怪しいのかレイ君とお話する前に紹介して頂いた薬剤師のデルフィ二ウム様に声をかけられました。
「サンドリヨン公爵令嬢……どうしてこのような場所にお1人で?」
「ああぁ、デルフィ二ウム様!!カッシアでいいんですよ?あのですね、迷子になっているところなんです。」
経験上迷った時は意地固にならず素直に人に聞いた方がいい事は分かっています。なので恥を忍んで素直に迷子である事を伝えました。
「迷子……?いったいどこに向かっていたんですか?」
たしか、カッシアが約束していたのは第3サロンと言うところだそうです。実習棟の一階にあるカフェに併設されていると聞きました。
「第3サロンと言うところに行こうとしていたのですが、実習棟が見当たらないのです。」
デルフィ二ウム様は少し間抜けな顔をしてからくすくすと笑い始めました。何がおかしいのでしょうか?
「ここですよ、実習棟は。」
そうなのか…ここは実習棟なのか!!くすくすと笑うデルフィニウム様に案内されるまま歩きます。前の方からケラケラと笑い声を立てる女子生徒たち数名が歩いてきました。あの方達がカッシアの約束していた相手かと思い声を掛けようとした途端にデルフィ二ウム様に空き教室に引っ張りこまれました。
何事かと思い目を白黒させている私にデルフィ二ウム様は優しく説明してくれました。先ほどの女子生徒たちはカッシアとシル様が婚約しているのが気に食わない方達で彼と歩いているのを見られるのは不味いとの事でした。突然のことなのでびっくりしましたが、気にはなりません。むしろ、空き教室にデルフィ二ウム様と2人っきりと言うのが気まずくて仕方ないのです。
「そう言えば何故デルフィ二ウム様はハーフエルフでいらっしゃるのに薬剤師をされているのですか?ハーフエルフなら、普通の人ができない仕事も出来るのでは有りませんか?」
そうなのです。この世界にはエルフとハーフエルフ、選ばれた一部の人間しかなる事の出来ない職業がいくつか存在します。その一つがシモン君の様な魔術師など魔法を使う仕事です。これは、何故か覚えているカッシアに疑問を持ちますが、カッシアに聞かない限りは分かりませんね。
「私は見えないですし、耳も辛うじてしか聞こえないので一般人なのですよ。」
「見えないのですか?どうやって生活されているのでしょう?」
かのヘレンケラーの様に二重苦いえ、ヘレンケラーは三重苦でしたが、目が見えない耳も殆ど聞こえ無い状態で生活するのはどんなに大変な事か想像も付きません。私達は日々、見える事、聞こえる事に感謝しなければならない事がよく分かりますね。
ヒロインが登場していないにも関わらずこの題名でいいのかと言う疑問がふつふつと浮んでは消えてゆく毎日でございます……
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拙い文章ではございますが、今後ともよろしくお願い致します。