うん?弟と2人っきりなんですか?
シル様の計らいで家族水入らず…長期休暇まで家に帰るつもりは無いので正しくは姉弟水入らずなのだが、細かい事は気にしない方がいい。ともかく弟と二人っきりで話す時間を貰った。私には話す事は無いから多分弟から何かしらの話が有るのだろう。
「姉上……「姉上ってなんか堅苦しくて嫌だからお姉ちゃんとかって呼んでくれない?」……お姉様は約束は覚えておりますか?」
うん?レイブン君と私はなにか約束したっけ?あっ、違う違う……レイブン君とカッシアが約束したのか?覚えてないなぁ……カッシアさんどうして、そんなに重要そうな事覚えてないの?
「ごめん……」
まぁ、わたしには謝ることしか出来ないよね。なにを約束したんだろ?
「そうですか……私は忘れておりませんよ?どうして、忘れてしまったのですか?頭を打ったからですか?そうですよね……」
れっ……レイブン君のキャラが激変してしまった……なんか、さっきまでフワフワ可愛いって感じの子だったのに今は魔王様のごとく笑を浮かべている!!さっきまでの笑顔がはにかみ笑顔なら今の笑顔は魔王様の笑顔だ。まぁ、レイブン君は魔王様だからはにかみ笑顔だろうが、魔王様の笑顔だろうが魔王様が笑顔という事実に変わりは無いのだが、とにかくレイブン君の性格が変わったのだ。一人称も僕から私に変わったし、言葉遣いも変わったように思う?レイブン君は二重人格なのかな?
ともかく魔王様のレイブン君に立ち向かわなければ答える事が出来ないことは事実。現実から目をそらす。そもそも異世界に転生しているという事実は地球が反転し始めようと変わらない事なのだから魔王様から逃げた所で私は彼から逃げ切る術を持たない。ならば、今ここで魔王様を納得させる事が重要になってくるだろう。
「マナーとか、そういう事の記憶は有るんだけど自分がどんな人かとか、誰がどんな人誰とどういう暮らしをしてきたかっていう記憶が少しもないの。言わば私はカッシアという名の別人にすぎないのよ。だから、貴方とカッシアがどう言った約束をいつしたのかは、ほんの少しも分からないの。」
正直に事実を述べるべきだろう。そうでもしないと納得も話も聞いてくれ無さそうだ。と言うか、カッシアならどう乗り切っただろうか?まぁ、悪役令嬢にそんな事を求めても権力を笠に着てみたいな答しか出てきてくれ無さそうだ。
「別人?なら、カッシアはもう存在しないのですか?それは、お祝いしなければなりませんね。」
いや待てレイブン君。君がカッシアに何されたのか想像も付かないけど、居なくなったからってお祝いするのは少しカッシアが可愛そうだ。いくら、他人と言えど私はカッシアに成り代わっているのだ。それは、悲しい。
「何処かには居るかも知れませんが……少なくとも目の前にいるのはカッシアでは無く別人です……」
「そうなんですねっ!!とんだご無礼をお許し下さい。」
とにかく……魔王様が引っ込んだので良しとすべきでしょうかね?
「ところで、カッシアとレイブン君がした約束って何なんですか?」
「ええっ?あぁ……僕と姉様の命は繋がっているのですよ。だから、僕が死ねば姉様も死にますし、姉様が死ねば僕も死ぬというまぁ、約束と言うより契約です。だから、姉様には自分の命を粗末にするような事はしないで下さいねとお願いしていたのですが姉様階段から落ちて死にかけるんですもん。ヒヤヒヤしました。」
とりあえずレイブン君は怒らせちゃ行けない事が分かった。とてつもなく笑顔が黒い。可愛い弟が出来たと思ったけど、どうやら弟は魔王様で腹黒いようだ……なんと言うか、幸先が悪い。
「なぜ……そのような契約を行ったのか聞いても?」
「カッシアに殺されかけたので命の危機を感じ咄嗟に。」
思ったよりレイブン君が物騒なので命の危機を感じます。まぁ、レイブン君もそう直ぐに死にたい訳では無さそうなのでいざとなれば彼が彼の命を守るために助けてくれそうな気もするんですよね。