ヒロインさんは……
桐の葉さんに抱き抱えられて姫葵さんの所に連れていかれる。護衛である桐の葉さんはあまり私から離れない様に言われているらしい。でも、桐の葉さんの顔は出来る限り隠しておかなければならないそうだ。腰の抜けた私を放ってもおけず、私が歩ける様になるのを待つわけにもいかない。必然的に私は桐の葉さんに抱き抱えられて移動するしか無いのだ。私達の姿を見つけた姫葵さんが駆け寄って来た。私は桐の葉さんの腕から姫葵さんの腕に移された。なんか、子供の様な扱いで気に食わないが歩けないから仕方ない。
「面はどうしたのですか?」
心做しか姫葵さんの声が冷たい様に感じる。そわそわと落ち着かなくった。
「死神に割られてしまいました。」
「どうして桐の葉さんはお面をしているんですか?」
疑問になった。別にお面をして無くても良いじゃないか。狐を象ったお面を付けたい彼は不気味な雰囲気があったが今はそんな事ない。
「この顔でしょう?女性が寄ってくるのよ。しかも九尾の狐。この上ない優良物件なのよ。」
姫葵さんは顔が良過ぎるのにも難があるのね。と小さく笑った。
ぐりぐりと小さな子の頭を撫でる時の様に樫木さんが私の頭を撫でた。どうも、ヒロイン組三人は私のことを子供扱いしているように思う。これでも、姫葵さんと年齢は変わらないのだ。姫葵さんが170cm近くある美女なのに対し私は140cmにも満たないチビッ子であると言う違いはあるが。
「樫木は口下手で不器用ですの。気を悪くしないで。」
私が少し不機嫌になった事が伝わったのか姫葵さんは笑って教えてくれた。樫木さんの方を見ると照れた様に目を逸らされた。その姿が妙に可愛く見えた。
「それより、問題は死神よ。私のカッシアを狙っているのでしょう?」
「別に貴女のカッシアでも無いです。」
とりあえず弁解はしておく。私はノーマルですよー。ヒロインに恋はしません。多分。
「まぁ!でもよ、危ないじゃないですか。一応樫木か桐の葉を護衛に付けてますが24時間は不可能でしょう?」
「いや、公爵家には入れま「そうですわ!!お泊まり会をしましょう?桐の葉は寮の方に連絡を入れておいてくれる?樫木はお部屋の用意をお願いね。」
なんか、凄い勝手に決まった……ヒロインは寮住まいじゃ無いのか……?なんか良く分からないけどヒロインとお泊まり会することになった。
感想やブックマーク、評価して頂いた皆様ありがとうございます。
挫けそうになり執筆を続ける事を辞めようかと思った矢先に感想を頂きました。
誠にありがとうございます。
年端も行かない私の拙い文書ではありますが、少しでも多くの方に届き愛される物となる様頑張りたいとおもいます。