次こそ!!ヒロインさんが!!
突然抱きしめられた。慌てた顔のシル様が面白いです。
「あなたがカッシアさん!?ずっとお会いたかったわ!!」
突然の展開に目を白黒させるしかありません。私を抱きしめたのはどうやら女性の様です。柔らかな体が母親を連想させました。母親と言っても今世の母親にはまだあった事がありませんから前世の母親の事です。
「あのー?」
「藤之宮様、この通りシアは怖がっています。離して頂けますよね?」
いや、怖くは無いんだけどさ。この突然抱きついて来た人は藤之宮さんというのか。日本人の姓みたいで懐かしい。藤之宮みたいに良いところのお嬢様みたいな苗字の人とは初めて会ったけど。
「まぁ!!申し訳有りませんわ。ずっとずっとずーっと前からカッシアさんとお会いする事を楽しみにしてましたの。」
ずっとっていつからだよ。藤之宮さんには初めて会ったわ!?カッシアの知り合いか?いつの知り合いだよ……つーか、お願いだからそういう重要そうな事は覚えておいて欲しかったよカッシアさん!!
「あの?初めて会いましたよね?」
「ええぇ。今世では初めてお会いしましたわ。」
あー?今世?こんせ?この世界ではとか、今の世界とかそう言う意味だよね?もしかして藤之宮さんも転生人?もしかして、もしかして乙女ゲームに付いても知ってる感じの?私もお会いしたかった!!これで、カッシアさんのヤバそうな乙ゲーフラグ折れるんじゃない!?
「あの……2人っきりでお話したいです……駄目でしょうか?」
「もちろんですわ!!ずっとカッシアさんとお話して仲良くなりたいと思ってましたの。」
了承は得られたのでシル様の前では話せない前世の事を根掘り葉掘り聞いちゃいますよ!!
「藤之宮さんには前世の記憶が有るのでしょうか?」
煩わしい事はどうも苦手でして単刀直入に行っちゃいます。言葉を長くすると伝わりにくくなりますしね。
「ありますわ。ゲームについてのみ。」
「あぁでも、シレスティアル王子を攻略する気は無いので安心してくださいね。私、シルシア派なんです。」
シルシア派は、シレスティアル×カッシア派で良いのかな?まってね、私そんな事聞いてないし、ヒロインにはむしろシル様を攻略して欲しいです。
「でもね、カッシアって可愛らしい見た目じゃない?だから、王子様よりカッシアを攻略したいなとか思っちゃうのよね。」
まぁ、 カッシアの見た目は乙女ゲームの悪役と言うよりハーレム物のアニメのヒロインの1人っぽいよね。毒舌ツンデレクルりんドリルのお嬢様的なキャラいるよね?あれ。
「見た目だけは美少女ですものね。」
「でもさ、乙女ゲームだからカッシアは攻略出来ないじゃない!?でも、今世はゲームじゃないでしょう?カッシアを攻略するつもりなのよ。」
まって、ヒロインさん。ゲームのカッシアじゃないんですけどいいんですか?中身、残念ですよ!?と言うかカッシアよりシル様攻略してください!!
多分……と言うか絶対的に残念な主人公さんだと思いますが……
私はこう言う主人公が欲しかったです。
悪役にざまぁされる様なキャラじゃなくてヒロインも悪役もみんな幸せになれる様な話が書きたいです。
まぁ、あまっちょろい考えだとは思いますが……物語ぐらいみんな幸せになっても罰が当たらないと思うんですよね。
まぁ、バッドエンドも書いてみたいですが。