ベルナック
このような形式の小説を書くのは初めてとなります。至らぬ点は多々あると思われますが何卒宜しくお願いします。始めの方はノンビリしてますが、後半部で盛り上げたいと思っております故………長々すみません、要約するとこうです。
「お願い読んで下さい! 感想欲しいです!」
見渡す限りの森の中、俺は目を覚ました。いや、我に帰ったというべきだろうか。気がついたらここに居たのだ。
服装を確認してみると、上下真っ青のジャージ姿で、動きやすい事に不足はないが少しセンスに困る格好。ポケットをまさぐると黒いハンカチが出て来た。白いロゴで「あかん、拭いたらあかん」と書いてある。何処の学校の物だろうかと考えて、俺は自分に記憶が無い事に気がついた。
言葉は解る。常識、善悪の区別もつく。ただ、自分の育ってきた環境、家族構成、果てには自分の名前さえも、全く覚えていない。
「……どうなっているんだ?」
唐突な出来事についていけず、不安そうに天を仰ぎ見る。と、そこで奇妙なファンファーレが鳴り響いた。
何事かと視線を前に戻し、そこに展開されていたウィンドウの様なモノに気がつく。俺は恐る恐るそれに近づくと、画面に触れてくださいという表示に気がつき、それに指先でそっと触れてみた。
『こんにちは、私はこの世界の管理観測を任されている者です』
メッセージはそこで終わっており、俺はもう一度画面をタップした。
『まずはご自分のステータスを確認してみてください、自分に意識を集中しながら「ステータス」と念じれば確認できます』
少し警戒するが、今は何も解らないので俺は書かれていた通りに念じてみる。すると目の前に別のウィンドウが現れた。
────────────────────
種族:魔王
名前:ベルナック Lv1
職業:かけだし魔王
体力:100
魔力:150
スキル:モンスターテイムLv1
初級鑑定Lv1
アイテムボックスLv2
配下:なし
称号:なし
────────────────────
「なんだこりゃ」
真っ先に目を引いたのは名前と職業。なるほど俺はベルナックというらしい、で、職業はかけだし魔王と。
記憶が無いからよく解らないが、何やらおかしな事が起こっているのは何となく解った。続きを促すように、メッセージウィンドウをタップする。
『お気づきの通り、あなたは魔王としてこの世界に召喚されました。魔王には勇者が攻めて来ます。スキルを駆使して生き延びて、配下を増やして強力な配下に育てましょう。スキル等の詳しい説明はステータスのヘルプを見てください』
もう一度タップすると、ウィンドウが消滅する。もっと情報が欲しかったが、仕方ないのでステータスウィンドウの項目からヘルプを選択。そうして開いたウィンドウには、レベルの上げ方といった基本的なことから所持スキルの概要まで多岐に渡って書いてあり、俺はまず所持スキルの概要から見てみることにした。
────────────────────
モンスターテイムLv1
野性のモンスターと交渉することで配下に加える事ができる。また、魔物の言葉が解る。レベルが上がると交渉可能モンスターが増える。
初級鑑定Lv1
コモン級の物であればその情報を読み取れる。レベルが上がると読み取れる情報量が増える。
アイテムボックスLv2
異空間にアイテムを保存しておくことができる。レベルが上がると保存可能な量が増える
────────────────────
「どこにでもありそうなスキルだけど、今この場で使えそうなのは初級鑑定か」
傍の草を引き抜いて初級鑑定スキルを使用する。スキルの発動の仕方はヘルプに書いてあった。念じればいいらしい。
「えっと‥‥‥麻痺草か、コモン級だけど使えそうだな」
初級鑑定で読み取った情報からそう呟く。加工しても効果が残るかどうかは要実験だが中々便利そうだ。それに見たところそこかしこに自生しているみたいだし調達にも困らないだろう。
もう一つのスキルも気になるけど、モンスターがいなければ意味が無い。俺は麻痺草をそれなりの量集めると、何かしらのモンスターを求めて移動を開始した。
◇◇ ◆◆◆ ◇◇◇ ◆◆◆ ◇◇◇ ◆◆◆ ◇◇
程なくしてモンスターを発見した。半透明の蒼い球体で、プルプルと震えるゼリー状の身体を持った生命体。
向こうはこちらに気づいておらず。雑草をゼリー状の体内に包み込んでは溶かしている。
(‥‥‥初級鑑定)
────────────────────
種族:スライム(コモン級)
名前:なし Lv6
職業:魔物
称号:野性の魔物
────────────────────
(まあ、Lv1の初級鑑定じゃこんなもんか‥‥‥)
右手に丈夫そうな枝を。左手には麻痺草を忍ばせて、スライムに背後から歩み寄る。この軟体生物にそこまで警戒する必要性があるのか疑問だったが、用心しておくに越した事はない。
「‥‥‥‥」
まだ、気づかれていない。枝の届く距離まで近づけば、あとはそれを振り下ろせばいいだけ。
一撃で仕留められなければ、もう一度叩けばいい。
状況を見て、左手の麻痺草を使えばいい。
(作戦は万全だ。抜かりは無い)
覚悟を決めるように枝を握りしめて────。
だが‥‥‥ベルナックは武器を取り落とした。
ガランッと乾いた音がして、スライムに気づかれる。
(ムリだ‥‥‥俺には、こんな可愛い存在を叩きのめすなんてできない!)
俺は悔しさに歯を食いしばり情けなさに膝を折り地に手を着く。そして、戸惑っている様子のスライムに向けてスライディング抱っこを敢行した。
「すみませんでしたぁ!」
「わ!? な、なに!」
スライムの声が聞こえたのは、恐らくモンスターテイムにあった能力のおかげだろう。
突如として抱き着いてきた変質者に、食事中であったスライムは悲鳴をあげる。しかしベルナックはそんなスライムなどおかまいなしに頬ずりをする。
「お願いです! 俺の! 私の! 配下になってください!」
「や、やあぁぁぁ!」
「後生です! この私めの配下になってください!」
「は、はなして! はなしちぇ!」
「可愛い! かんじゃう所がまた可愛い!」
「えぅっ、は、はなしちぇ‥‥‥」
名残惜しいがこのままではスライムちゃんが泣いてしまいそうだ。ベルナックは仕方なく腕を緩めると、そっと地面に置いて自分もその前に座る。そして怪しいくらいのニッコリ笑顔でスライムを見た。
「だ、だれ‥‥‥?」
「ベルナックと申します」
「な、何の用で来たの?」
「この度はあなた様に配下になっていただきたいと思った次第です」
「はいか? ‥‥‥なにすればいいの?」
「プルプルさせていただきたく存じます」
「え、えぅ? ‥‥‥た、たべものは? いつでも食べていい?」
「構いません、俺もいつでもプヨプヨするから」
「ふえぇ? いつも?」
「うん、暇なときと、寝る前にプヨプヨさせて欲しい」
「ん‥‥‥わかった。はいかなる」
「おお! なってくれるか、ではさっそくプニプニさせてくれ」
「い、今!?」
「おう、暇なときって言ったろ? 今暇なんだよ」
「や、やっぱりや───」
「逃がすか! プニプニぃぃいぃいいぃ!」
「やあぁあぁぁああぁ!」
夕暮れの迫る森の中、スライムの悲鳴が虚しく響いた。
おはようからこんばんわまでどーもです。
始めまして、敗者のキモチです。恥ずかしながら連載小説を投稿してみようと思いました。褒めてくれる感想もありがたいですが、手痛い感想もありがたいです。
いえ? Mじゃないですよ?
一部の業界(小説を書きたい人達)では御褒美です!
的な感じです。