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ひとりごと
あの頃はよかったなぁ。
そういう大人の感傷が、私は大っ嫌いだった。
戻れないのに、昔を懐かしんで「今」を蔑む。大人のしみったれた情けない言葉が、嫌で嫌でしかなかった。
私はとても楽しい「今」を過ごしているのに。
それが汚された気がして、不快でしかなかった。
二十三歳。
二十三歳の私は、「そういう大人の感傷」がどういった気持からくるものかわかるようになってしまった。
それが嫌で、必死に目を逸らすかのように、その言葉を呟いたことは一度もない。
この場所に帰ってきた今も。
次話から本編に入ります。
全体として、中編くらいの長さになる予定です。
大人になるとはどういうことなのかを、まだまだ子供気分の私視点から考えたお話です。
誤字脱字、その他もろもろ感想などありましたら、ぜひ教えてください。
よろしくお願いします。