世界が白い理由
「ハァ、ハァ、ハァ、」
息をきらしながら後ろを何度も確認した。
この季節の裸足は凍傷になるというものだ。
でも僕は裸足だった。
突き刺さるような痛みが足からやってくる。
それでも立ち止まれなかった。
立ち止まったら、コロサレル……!!
冷たい空気が突き刺さるように僕に降ってくる。
木の上につもっている、あの白いものをなんと呼ぶのだろうか。
好奇心もあるが今はそれも出来ない。
冷たい足からは感覚が消えていく。
僕は今、動けてる?
だれか教えて。
この世界のどこに平和があるの?
この世界のどこに希望があるの?
この世界のどこに、痛みをかんじないところがあるというのだろう。
足が止まる。
後ろからザッ、ザッ、と足音が響いた。
でも、足が動かない。
休んでしまった代償だ。
「ワンワン!!」
犬の声がした。
そっちに目をやると人間がいた。
あぁキット僕は……。
バァン!!
銃声が、冬の森に鳴り響いた。
「あぁ、死んだか……」
男は近づいてつぶやいた。
「まだ子供だったか……」
「ワンワン!!」
犬が興奮気味に吠えた。
「ごめんな……。でも君の命のおかげで家族にご飯をやれるんだ」
男は言うと銃弾の撃たれた鹿を担ぐと犬を引き連れて町のほうに歩いていった。
残ったのは白い雪とその上に散らばった血、足跡だった。
「クゥーン……」
どこからか、森の奥からか、切なげな声が響いた。
すごく短編です。そして一年以上前の作品です。
当時一番友達受けが良かったという。
感想いただけたら嬉しいです。
芽実