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ユグドラシル  作者: 樹杏サチ
序章 魔女の子
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序章 魔女の子



 世界を襲った先日の大地震の余韻を打ち消すかのように、激しい雪が一日中、降り続いていた。

 こっこくと止むことのない白い雪の粉を見つめながら、老人は随分と長い間そうして佇んでいた。

 景色と一体化するように、老人は身動きすらせず、静かな森の景色を見つめる。たまの瞬きに、睫毛の上に落ちた雪が音もなく老人の顔から滑り落ちていく。

 肌を切り裂くような寒さが、老人の小さな体を包むが、老人はそれすらも気にした様子はなく、時折吐き出される息が白く宙を舞い上がらせるのみで、身ひとつ震わせることはなかった。

 人が眠りに落ちた時刻、一切手が加えられていない森の中は一筋の光すらない。月は分厚い雲に覆われ、僅かな明かりがさすこともないというのに、老人は光精(ムルド)の力すら使うことなかった。

 雪の白さにも似た豊かな眉毛の下に覗く瞳をぎらりと光らせ、暗闇の奥を見据え、些細な異変すらも見逃さぬよう意識を澄ませていた。

耳の奥に届く、雪が荒ぶる音と、雪が森の木々に打ちつける激しい音のみが、老人に聞こえる唯一の音で、太陽が高い場所にある時刻聞こえてくる鳥の声も、虫の声も、今はその余韻すらない。普段ならば夜であろうが少しは聞こえてくる自然の声が、今夜は不気味なほど静かだった。

(昨夜の地震……よからぬ前兆でなければよいが)

 寒冷の地、北陸にあるスーの村の長になったばかりの老人は、薄い防寒服の頭上にいつの間にか積もった雪を振り払う。降り続ける雪と重なり、地面にそれは落ちた。

 雪が打ち付ける頬や、薄い衣に包まれた体はすでに感覚は薄い。だが、それでも長になった自分は、先日の地震の影響で村が災いに包まれるのを防がなくてはならない。ただの杞憂ならばそれでよい。しかし、老人の胸には空恐ろしいものが沁みついて、簡単には消えてくれそうにはなかった。不安に苛まれる何か、といった明確な要素はない。だからこそ、こうして夜遅くに森の中を注視するのだ。瞬きする間も惜しんで。

(それにしても、よく降りおる)

 ため息のような息を吐き出すと、瞬く間に白い煙が舞い上がった。

 さて、どうしたものか。と、老人は月の見えない空を仰ぐ。目を開けることすら躊躇うほどの強い風が冷たい雪を運んで、老人の視線を無意識に落とさせた。

 ふと、老人は違和感を覚えた。

 ふさふさと伸びっぱなしの眉がぴくりと動き、落ちた視線は一点を見つめたまま動かなくなる。暫くして、老人の表情がはっきりと訝しげに歪んだ。

 森が人の手を加えていないのは、滅多に人が訪れないからだ。森の中を熟知した村の者以外は足を踏み入れることはない奥地、この時期の森の地面は、まるで粉砂糖をまぶしたかのように滑らかだ。だが、老人が目にしたのは、誰かが積もった雪の上を歩いたような跡。成人した大人が一人、まだ訪れて間もないような足跡だった。

 降り続ける雪によりだいぶ足跡は薄れているが、それでもまだ半日は経っていないであろう、生々しいものである。

 老人は、ゆっくりと雪の感触を確かめるように歩き進め、やがてその埋もれかけている足跡を間近で見た。村の者でもよほどのことがない限り行くことのない、森の奥へ奥へとその足跡は続いていた。恐らく迷ったのだろう。躊躇しながら進んでいるのが見てわかる、乱れた足跡だった。

 老人は僅かな逡巡の後、今度は迷うことなくその足跡を追い始めた。

(……旅人であろうか)

 老人は、ふと先日の大地震と足跡を無意識のうちに結び付けている自分に苦笑した。

 ただ純粋に、迷い込んだ者かもしれない。それなのに、長い間生きていると、知らず知らずのうちに慎重になりすぎるところがある、と老人はどこか冷めた思いでいた。それが良いことなのか、悪いことなのか。今の段階では知る由もない。ただそれが結果となったとき、初めてその慎重さが意味を成すのだ。だが、いずれにしても楽観視するよりはよい帰結をもたらす、老人は常々そう考えていた。

(ぬ……。空気の気配が変わった)

 ごうごうと、唸りをあげるような吹雪は相変わらずだというのに、肌に触れる気配が僅かに変化したことに、老人は素早く気づいた。

 だが、吹きすさぶ雪が邪魔して、気配のもとを辿ることができない。そう感じた老人は、その場に立ち止まり瞳を閉じた。

 夜の闇よりも濃い闇が、老人の視界を支配する。しかし、そうすることで、いっきに神経が研ぎ澄まされるのだ。耳に届く音も、肌に触れる感触も、嗅覚さえも鋭くなる。そうしているうちに老人は、はっと目を見開いた。

(これは……火精(サランド)の気配!)

 村の者は決して扱うことのない(ディ)の気配を感じ取り、老人は素早く身を滑り込ませるようにして走り出した。追っていた足跡が次第にはっきりと濃くなっていくのを見ながら、脳裏に見たこともない世界樹(ユグドラシル)の衰えていく姿が妙にはっきりと描かれていくのを自覚した。

「愚かな……」

 はっきりと口にした頃、息を切らせた老人が目の当たりにしたのは、木と木の間に座り込む者の姿だった。

 全身をすっぽりと包み込んだ旅衣は泥や雪でどろどろになり、裾の端々は擦り切れている。目深に被った外套からは見目形は窺えないものの、旅衣から知れる体格はとても細かった。頼りなさげな体は倒れるようにして背の幹に預けられ、座り込む姿勢から恐らく男であろうその者は、両手で懸命に何かを抱えていた。

 男が身に纏う衣と同じような薄い布きれで包まれたそれを、熱を逃がさぬように胸に抱き寄せている。時折ふわり、と橙色のかすかな光がそれの近くを漂った。老人は、その光を見た瞬間、やはり。と苦々しい思いが更に強くなるのを覚えた。

火精(サランド)で暖をとっているのか)

 (ディ)の源は世界樹(ユグドラシル)からだという。ならば最近人々が噂する魔法の力が弱まってきている、という原因は、われわれ人間が(ディ)の力に頼りすぎているからではないのか。

 老人は、ゆっくりと男に近づきながら、それでもこの男を責めることはできないのだと悟っていた。

 (ディ)の力に依存しているこの世。生活の大半は(ディ)の力なしでは成すことができないほど、近年は進んできてしまっている。それを嘆いた先の村長の表情が、今でも老人の瞼の裏にはっきりと映っていた。

「おい、大丈夫か」

 老人が身を屈め、男の頬を軽く打ちつける。

 人の温もりなどそこには宿っていないかのような冷たさが、老人の手のひらを襲った。思わず触れた手のひらを引くと、男の顔が上がる。

 かすかな衣擦れの音が静かな森の中、雪が降り積もる音と重なった。

 唯一旅衣の隙間から覗く薄い唇が僅かに開かれる。だが、言葉はなかった。

 お互いが言葉を発せぬまま、幾分か探るような気配が濃い闇の中で二人を包む。やがて、沈黙を先に破ったのは老人の目の前の男だった。

「――……あなたは?」

「私はスーの村の長、バルファと申す。そなたは、このような夜分、どうされた」

 老人――バルファの言葉を聞き終えると、男は「そうですか」と安堵の色を滲ませた呟きを洩らし、再び沈黙した。

 男は腕に込めていた力を少しばかり緩めると、抱えていた何かを両手でしっかりと支えたままバルファの目の前にまで持ち上げる。ふと、バルファは男の旅衣から覗いた腕が血に塗れていることに気づき、皺だらけの顔を顰めた。

 音もなく立ち上がった男はバルファの戸惑いなど気にする様子もなく、

「よかった。この子、ファリアナを育ててくれる方を探していました」

 と、バルファの返答など初めから求めていないかのような、一方的な言葉を告げた。

 バルファが何かを訊ねるよりも先に、男が抱えていたものを渡され、ずっしりとした重みが先程の男の言葉が幻ではないのだと、雄弁に物語っていた。

 重みと同時に腕に伝わるのは、人の柔らかな温もり。

 旅衣に包まれたそれを覗き込むと、幼い少女が長い睫毛を伏せ静かな寝息をたて眠いっていた。頬はほんのりと赤みを帯び、先程の火精(サランド)が暖をとっていた意味。このとき初めてバルファの胸に納得と安堵の思いが同時におりてきたのだ。

 だが、そんな安堵を消し去るかのような驚愕が、続いてバルファを襲う。少女の額にうっすらと浮かぶ痣を見つけたのだ。壺状の花が幾つも額の中心に向かって咲いているような、そんな形状の痣であった。

「ファリアナは、今は亡きアナスラシア様のお子。どうか、よろしくお願いします」

 バルファの困惑を知ってか否か、男は淡々と告げた。まるで今宵降り続ける雪のような白さを含む声音だった。静かでいて、でもどこか力強さを含んだ声。

 すぅっと溶けるようにして静寂が再び辺りを包んだ頃、バルファはついに少女から視線を上げ、男を見上げようと顔を上げ言葉を失った。知らず知らずに、少女ファリアナを抱きかかえる腕に力がこもる。

 そこにいたはずの男が、突然姿を消したから。

 まるで狐に化かされたような気分だった。だが、腕にのせられた重みや、積もった雪の乱れた姿を見れば、それは現実に起こったものなのだ、と実感せずにはいられなかった。雪の音に紛れて届く、少女の寝息はとても穏やかなものだ。それとは裏腹に、バルファの胸に広がる不安を表しているような、そんな吹雪はまだやみそうもない。

(……とんでもない拾いものをしたものだ)

 深いため息をつくと、バルファは静かに村へと続く道を歩き出した。

(そういえば、去年の今頃も似たような拾いものをしたな……)

 バルファは再びため息を漏らすと、心の中に溜まった暗雲も吐き出せないものか、とどこまでも続く白い景色を見つめながらゆっくりと進んだ。




 リュートは森の中にいた。

 艶のない乾いた黒髪は、背のあたりで緩く結われ、伸びかけの顎鬚は整えられておらず、どこかみすぼらしい雰囲気の中年の男であった。

 薄汚い行装に身を包み、雪道を踏みつける革靴の紐が解けて地に垂れ下がっているのも気にせず、リュートはのんびりとした足取りで辺りを見渡しながら歩く。目が霞むほどの雪の白さに埋もれた景色を眺める瞳は、青玉(サファイア)のような澄んだ色をしていた。

「あー……。ここはどこだ」

 立ち止まり、ぽつりと呟いた言葉は夜の闇の中に溶けていった。

 帝都から北の門を抜け、街道を進んでいたのはもう数ヶ月も前の話である。普通の道を進んでいたのでは面白みのない、と街道からそれて歩き出したのはリュート自身の意思だ。

 背後を振り返り、目の前の景色となんら代わり映えのない姿であることに、リュートは困惑顔で頭をかいた。

 視界を惑わせる雪が激しさを増したのを見ると、恐らく随分と北の地方まできているのであろう。鬱蒼とした森の中は、降り続ける雪の白さに覆われ、進む足を一瞬だけ躊躇させる。進めば進むほど、迷いこんでしまっているような感覚に陥っていた。更には夜、という悪状況が重なり、もはやリュートの口からため息すら出てこない。

(仕方ない、今日はこの辺りで休むとするか)

 なるべくたくさんの梢が重なっている木を探し、太くどっしりとした幹の脇に背負っていた頭陀袋を下ろした。鞘のない剣に巻きつけられていた薄布を引き剥がすと、それを地面に敷きリュートはどかりと腰を下ろす。剥き出しになった、リュートの背丈ほどある剣の刀身が、闇夜の中で静かに煌いた。

 木の幹に寄りかかるようにして置かれた剣の漆黒の柄には、蒼色で花の形が模られた模様が刻み込まれている。それは大陸の南に位置する島国、アズバン王国の国旗に描かれている月桂樹のものに似ていた。

 漆黒に蒼。それはまさしくアズバン王国に住まう民を象徴しているかのような色合いだった。大陸領内では決して産まれることのない漆黒の髪に蒼い瞳。彼の国の民は、必ず同じ色合いを持って生まれてきていたのだ。大陸の人間にとって、その色合いはとても不気味で、畏怖の対象として誰もが忌避する。閉鎖的で、独自の文化を持つ国の性質が、余計にそれを際立たせているのであろう。黒髪を見て顔を顰めない者は少ない。そんな彼らは自らを《水の民(ウィ・ラァー)》と呼んでいた。

 彼らの目立つ容姿を隠すには最適な、頭からすっぽりと全身を覆う旅衣も、厚手の毛布もないリュートは、梢の隙間から降り落ちてくる雪の冷たさに身震いをする。容赦なく注ぐ雪の粒にリュートの前髪から水滴がぽたぽたと滴り落ちた。

 頬を伝う滴を冷たくなった手の甲で力強く拭うと、自らの背をがっしりとした幹に預けて瞳を閉じた。

(魔法が使えたらな。雪にも風にも消えない火を熾せるんだが)

 地面に敷いた薄布から沁みるようにして伝わる氷の冷たさが、尻から上へ上へとのぼりやがてリュートの全身を襲った。

 だが、疲れた体は正直である。瞳を閉じれば心地の良い闇に、ゆっくりと睡魔がおりてくるのがわかった。微かに聞こえていた風の鳴る音も、鈴を転がしたような虫の声も、すっかり薄れてきた頃、リュートは聞こえてきた悲鳴にハッと飛び起きた。

 若い女の声である。さほど遠くではない、わりと近い場所から聞こえてきた、明確な悲鳴だ。

 リュートは無意識のうちに剣の柄を握り締め、自分の背丈ほどある重い剣を持っていることが信じられないほどの素早さで駆け出していた。

 悲鳴は、リュートの神経を乱すだけではなく、森全体をも乱していた。

 意識を手放そうとする直前に聞こえてきた穏やかな空気はもはやない。時折聞こえてくる夜の虫の声、囁くような風の音や木々のざわめき。それらが一瞬にして消えた。何かを思わせるような不気味なまでの静けさが、濃い闇の中に漂っている。

 駆けるリュートの背筋に緊張感が走った。無意識のうちに喉を鳴らしながら唾を飲み込む。

 このような夜半に女性の悲鳴。十中八九、よくない出来事であろう。それを裏付けるようにして、声のした方向から遠ざかっていくざわめき。森の息吹が聞こえなくなった今、聴覚の優れたリュートには手に取るようにしてわかった。いくつかの焦りを含んだ足音が、忙しなく消えていったのが。

「くそっ!」

 深く積もった雪のせいで、思うように走れないリュートは苛立ちの言葉を吐き捨てた。

 自由奔放に旅を続けている自分にとって、おそらく無関係であろうにも関わらず、リュートは急いていた。冒険者組合(ギルド)の仕事で何度も命の危険を覚えた彼だからこそ、受ける直感は確かなものである。予感がはずれていればそれまでだ。だが、もしも当たっていたら……

 この状況から逃げた、と思い出しては苦々しい思いしか残らないだろう。夜眠る間際に思い出しでもすれば、それこそ心地が悪い。リュートは胸中で舌打ちを幾度と繰り返しながら、深い雪を蹴り上げるようにして駆けた。

 不意に、鉄が錆びたような重々しい臭いが鼻についた。

 そう思った刹那、リュートは目の前に開けた景色に思わず息を呑む。

 真っ白な雪の地面に横たわる、血まみれの少女が唐突に視界に飛び込んできたからだ。

 横たわる少女の周りの雪が、赤い水を流し込んだかのように真っ赤な色に染め上げられている。まだ鮮やかさを残すそれが、つい先程のことだと告げていた。急いで駆け寄ったリュートの手に触れた少女の体は、まだ温かい。生きている。だが、呼吸をしているのかどうかもわからないほど浅いそれは、今すぐにでも消えてなくなりそうなほど弱々しいものだった。

 心臓を庇って倒れたような、前のめりの体勢で横たわる少女の背中には、二本の太刀傷が生々しくさらされている。まだ斬られて間もない傷口から、今もとめどなくぎらぎらとした血が流れ出ていた。

 血と汗で額や頬に張り付いた赤銅色の髪を払い除け、少女の体を揺らさないようにゆっくりと抱きかかえる。すると、少女の眉間が苦しげに歪み、小さな呻き声を漏らした。やがてうっすらと睫毛が持ち上がり、虚ろな瞳が薄く開かれた。

 意識がはっきりしていないのか、開いた瞳に意思は宿っていない。ただ開いただけの瞳を見ながらリュートは、

「寝ろ寝ろ。まだ夜中だぞ」

 と、軽い口調で言って笑った。

 それに安堵したのかはわからないが、少女の瞼がゆっくりと下がる。

 再び意識を手放した少女の青白い顔を見て、笑顔を捨て去り重苦しい表情をのせた。

(手当するほどの知識、俺にはないぞ……)

 リュートが荷を置いてきた場所まで戻ったところで、気休め程度の手当てしかできない。魔法が使えれば、完全に治すことはできなくとも、傷口を塞ぐことなど容易いのだろう。だが生憎、リュートの中に魔法という二文字は刻み込まれていない。せいぜい薬草を塗る程度の知識しか持ち合わせていないのだ。しかし、そうして悩んでいる間にも、彼女の温もりは少しずつ冷えていく。

 そんなことを考えながら、血に塗れた雪の上に佇んでいたリュートの視界の隅に、ちらりと明かりがうつった。

 弾かれたように光を辿れば、ここからそう遠くはないであろう場所に、民家の明かりと思われる光の群れを見つけた。リュートは内心で狂喜の声を上げ、そのまま丁寧な足取りで、だがしかし急いで光を辿るようにして足を進めた。

 抱えた少女の背から今も流れる血の生ぬるさが、リュートの腕を伝って雪の白さに染みを作っていく。

(頼むから死なないでくれよ)

 懇願するリュートの思いを聞き取るかのように、少女の睫毛が揺れた。

 よく見れば、少女が身に着けている衣服は、リュートが手にしたことがないようなほど高価な布から拵えられている。とても滑らかな手触りに、リュートの顔が徐々に曇っていった。

(……俺はごたごたに巻き込まれたくはないぞ)

 とんでもない状況に身を投げ込んでしまったのかもしれない。そう思ったら、リュートの口から重いため息が知らず知らずに漏れていた。



 ――ちょうど、ファリアナがスーの村の長に預けられた、一年も前の出来事である。


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