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第一話 機人怪盗と青年探偵 [栄作サイド]

「クソッ! 何をやっているんだ!」

 大きな美術館を思わせる大きな豪邸に鳴り響く警報機の音と1人の中年警部の怒鳴り声。

「西九条くん! 怪盗マリオネットはお宝を見事に盗んでいったそうだよ。どうしてくれるんだね!」

 中年警部の怒りの矛先は俺へと向かう。まったく・・・ これだから、頭の固い人間は・・・

「大丈夫です。警備は万全。盗むことができても、この屋敷から抜け出すことはできません。それに、彼女の行動パターンは読めています」

 そう言って、俺は屋敷の地図を広げ、指を指す。


「今までの彼女の行動パターンを見ると、すぐに屋敷の外に出ることが多いです。なので、今回は庭の噴水前に警備を固めました」

「本当にそこに来るのかね?」

 眉を顰めて俺を睨む中年警部。

「もちろんです。屋敷内の構造からして、庭の噴水前に行く可能性は高いですし、屋敷内の警備も噴水前に行くように配置しています」

「なるほど・・・ 罠ねぇ・・・」

 自信満々に中年警部に話す俺。しかし、中年警部の顔は眉唾顔で変わらない。

「まあ、見てもらえれば僕の推理が正しいことがわかりますよ」

 そう言って、窓から外へ出る。外へ出ると、彼女が現れると推理した噴水前まですぐの距離だ。

「その言葉を何度信じたら良いのやら・・・」

 中年警部のこの言葉は、少し心に痛む。




ガシャン




 突然、館の外に鳴るガラスの割れる音。そして、噴水前にはガラスの破片が飛び散る。

「うっ・・・」

 そして、噴水前に降り立つ1人の少女の影。

「さあ。今日こそは袋の鼠状態だな。怪盗マリオネット」

 その少女の影が周りのサーチライトに照らされ、姿が露となる。黒髪ポニーテールと少女らしい容姿。しかし、その首から下は黒いスーツのような身体となっている。その身体のあちこちに、ロボットっぽい継ぎ目がある。少女の容姿をしたロボット・・・ いや、本当にロボットなのか・・・ しかし、その容姿は人間とは言えない。でも、彼女の今までの言動は人間そのもの。少女としての容姿とバイザーからはみ出した鼻から下の顔のパーツからすると少女だとわかるが・・・ 彼女の正体は一体・・・

「ここまで囲まれたら、いくらの君でも逃げることはできないだろう」

 彼女に一言添える。

「私は・・・ 私は、ここで負けるなんてできない!」

 少女らしい綺麗な声。この声とその少女の容姿に何度も嵌められた。でも、今日こそは・・・彼女を捕まえてみせる!

「残念だが、今日は君の負けだ。さあ。綺麗な身体が傷つく前に、投降したまえ」

 今の彼女は、何十人もの警備員に囲まれている。後ろは屋敷の壁。その状況は、誰が見ても逃げ場がないことを物語っている。

「・・・」

 じっと黙って、俺の方を見つめる。バイザーで彼女の瞳は見えないが、彼女の鼻から下の表情からしたら、俺を睨んでいると予想できる。

「はあ・・・はあ・・・西九条くん。君の推理は確かだ。褒めてあげよう」

 ようやく、中年警部が追いついてくる。見た感じ、体力なさそうな人だからなぁ・・・ 俺がいなかったら、もっと簡単に彼女にブツを持っていかれただろうな。

「さあ。泥棒ネコ。大人しく観念したまえ」

 そう言って、中年警部は懐から拳銃を出し、彼女に銃口を向ける。

「ちょっと! 警部! 彼女は怪盗とは言え、女性ですよ? ロボットかもしれないけど・・・ その行為は紳士として、如何なものかと」

「ええい! うるさい!」

 突然、俺の言葉に中年警部はキレだす。

「今までアイツのせいで、どれだけ左遷に遭いそうだったか・・・ 君にはわからないだろう! 俺は今日で、蹴りをつける」

 そして、中年警部は銃の安全装置を外し、発砲準備万端の状態にする。

「泥棒ネコ! 大人しく投降しろ!」

 こりゃ、完全に頭に血が上りすぎてるな。この人を警部にした警察も問題だな。


「しない・・・って、言ったら?」

 小悪魔のように中年警部に尋ねる怪盗マリオネット。

「もちろん撃つ。お前はあの世行きだ!」

 この人は、たぶん彼女の身体が機械であることに気付いていない。だから、彼女に発砲したって無駄だろう。まあ、バズーカくらいなら何とかなるかもしれないけど。

「じゃあ、逃げるね」

 そう言うと、彼女のボディに赤色のラインが走り、光出す。そして、彼女は大きくジャンプ。その後、背中からグライダーのような羽を展開。

クラスターのような部分から炎を出し、華麗に空へと舞う。

「残念でしたね。探偵さん。私は負けられませんから。じゃあね」

 彼女はそう言って、遠くへ飛び去ってしまった。これで、10連敗目。中年警部からしたら、11連敗目。そして、今日のご飯もネコマンマになりそうだ。


トホホ

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