作り物の少女
村を出て3日後僕らは1番近い国、観望国家タイテンへと向かっていた。
「タイテンか…何度か旅行に行ったことがあるいい国だ。知り合いに魔道具屋の店主がいるもしかしたらいい物を取り寄せているかもしれない。」
そう言ったのは暗い緑のマントで身を隠し、フードで顔を隠しているガロンだ。
「あー!マイクさんだね!前にあったときは、凄い魔導書を手に入れたって言ってた気がするよ!」
ヤヨイの話に出てきたその魔導書に胸を躍らせていると、アサが指を刺しながら話した。
「────あそこに小さな女の子が倒れています!」
その指の先には白色の髪の毛に、桜の様な色をした瞳の少女が倒れていた。
僕らはとりあえず簡易ベッドの上で彼女を眠らせていた。
「この子の髪の色…タイテンの王家の色じゃない?以前の就任式の時に見たよね、ガロン?」
「あぁ確かに白色の髪をしていた。だが、王家にこんな小さな女の子なんていたか?」
そう誰も知らないのだ。王家に小さな女の子がいるなんて。普通よほどの事がなければ、王家に子供ができたら、他国に報道を求めあっという間に世界中に広がっていく。ましてやホーリーほどの大国が知らないはずがないのだ。
「コイツ…人造人間だな。」
そう言い放ったのはエクスアップだ。
「なぜそんなことが分かるんだ?第一そんな事をする意味は?何故自分たちの子を作る必要があるんだ?」
僕は気になった事を一気にエクスアップに聞く。エクスアップはめんどくさそうに、答え始めた。
「まず人間とは体内構造が違う。身体中が魔力でできている。作る意味は…”趣味の場合が多い”な、どっかの変態が作ったんだろう。それか、なんかの”人体実験に使うから”とか、単に”労働力が欲しかった”とか。でそっから逃げ出してきたってのが答えだろうな」
「なるほど…それなら確かに辻褄があう。だが、肝心の黒幕はどこにいるんだ?普通人造人間なんで見つかったら即牢獄だ。探知機か、何か付けるだろ。」
「────余程の自信家なんだろうな。絶対にバレずに人造人間を作るのが。そんなやつが”作品”に装置なんか付けるか?答えはノーだ。つまりこの人造人間は、数日または、数時間で動かなくなる様になってるんだろうまたは、崩壊するようにな。だから奴は探さないし、装置も付けない。万が一見つかっても証拠のコイツが壊れるって事。な?全て辻褄が合う。」




