刹那の一撃
「おやおや見間違えるだなんて失礼な人達ですねぇ」
そう口にするが、スノードロップの口はニヤリと不気味な笑顔をしていた。それはまるで獲物を捕らえた獣の様だった。
『───────フローズアラウンド─────』
きたッ!あの時の技!
刹那大地を冷気が飲み込み、氷土へと化した。
おかしいですねぇなぜ、ほとんどの兵士達が生き残っている。それどころか一般人すらほとんど死んでいないでいないじゃ無いですか…それにあの少年の顔、何か知っているみたいだった。まるでこの技の弱点をしっている様な顔…あの刀!なるほど。
「やられたな……フフフ…アッハハハッ!君素晴らしいね!最ッ高だよ!まさかたった1人の人間にここまで追い詰められるとは!初めてだよッ!こんなにも楽しませてくれる人間は!いいだろう!君達の作戦に乗ってやる!」
『──────スノーランスッ!』
『土門ッ!』
スノードロップの風をも切り裂く様な速さの攻撃を、ユイトが防ぎ切った後スノードロップは凶器にも似た笑顔で続けて攻撃をし始める。
『ブリザードブレス!』
『ハイウィンドッ!』
激しく唸る凍りついた風と、神速の風が激しくぶつかり合い、両者は反動により壁に強打した。
その一瞬の隙を突いて立て続けにアイは呪文を唱える。
『水封陣!』
ガードの緩んだスノードロップの周りに水の膜が包み込み、封印の紋章が浮かび上がる。
「───────これしきの封印術で私を縛れるとでもッ!!」
スノードロップは全身から魔力を解き放った。大地や壁にヒビを入れ禍々しく、漆黒の魔力が辺りを黒く染め上げた。だがそれはオータスですら起こる、絶対の弱点。全身から魔力を解き放った後2秒間だけ、魔力が一時的に出せなくなる時間がある。
「───────その瞬間を待っていた!」
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「ユイト何か作戦はあるのか?」
「あぁ魔岩は周囲の魔力を吸い取りより強い魔岩となる。そして全身から魔力を解き放つ時それはオータスですら起こる世界のルールであり、最大の弱点だ。
まずはアサや僕で陽動し、奴のガードを崩した時、アイはわざと弱い封印術で奴を縛るんだ。そうすれば、奴は解術より全身から、魔力を解き放つだろう。何故なら、解術より魔力を解き放つ方が魔力を温存できるから。その瞬間奴の魔力を吸った魔岩を無防備の奴に打つけるってのはどうだろうか。」
「なるほど…ですが、そう上手くいくでしょうか」
「あぁ必ずな。奴は必ず俺たちが兵士に自分の術の弱点を教えたと気づく、さらに俺たちが距離をとりながら奴をその場にとどめ解こうとする。その二つから必ず目的は時間稼ぎだと誤解する。」
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自分の魔力で死にやがれッ!
『────魔岩ッ!』