英雄の帰還
あれから30分…激しい攻防により、新人類達は殲滅された。ユイトは変わらずに走り続ける。アイを見つけるために。
「アイッ!!」
「────ユイト?…ユイトッ!!」
ついに互いを見つけた二人は強く抱きしめ合う。やっと会えたことを、生きていたことを喜び合いながら。
────────────────────────
「ありがとうございます…ユイト様。正直ユイト様がいなければ我々は今頃…」
「いえいえ元はと言えば僕が誰にも相談しなかったことのせいですから」
ユイトはソクガク城の一室でミズナと共に今後について話し合っていた。時刻は23時、他の隊員は交代で見回りをしている。いつまた奴らの魔の手が来るか分からないからだ。だからこそすぐにでもタイテンの今後の方針を決めなければ行けないのだ。
「僕としてはやはり、まず先にホーリーを取り戻す。その次にオクルスやオクトプスなどの国を救う。最後に奴らの殲滅…これが一番やらなければ行けないことだと思います」
「ホーリーを第一にするのは分かりますが、数多くの国々の中で何故オクルスやオクトプスの名が上がったのに理由とかはありますか?」
「あの姉妹国家はそれぞれ神瞳と神足を持つものが多く生まれる。もっとも強き力を持つ神腕を産むのがホーリー。ホーリーの次となれば、その次の力をもった国を優先するのが普通かと…」
「なるほど…今後の方針は決まりましたね…ではより具体的に話をしましょう─────」
ユイトはミズナが淹れてくれた清涼感がかなり強いハーブを使ったハーブティーを一口のみ、もう一度作戦を練り始めた
────────────────────────
「最終確認ですね。ユイト様が単身でホーリーに向かい、最短で奪い返す……他の皆様はタイテンの防衛と…」
「はい…」
「確かに最短でかつ、今タイテンが出せる最大限の戦力ですが…あまりにも無謀と言いますか…ホーリーにいる神父はスノードロップ一人ですが、彼は一人でホーリーの全てを飲み込むほどの冷気を出し、ホーリーをたった一人で凍土に変えた男なのですよ?街も人も村も…すべてを」
「良く知っていますよ…アイツの強さは…確かに本来なら兵士や隊員を連れていきたいのですが、相手は一人。しかも範囲攻撃を得意とするもの。数を増やせばその分だけ命が踏み躙られます。兵士の傷も完全には癒えていないと言うのに、また戦場にたたせる訳には行きませんから…」
「確かにユイト様は先の戦いでは大きな怪我はなかったのですが…それでもやはり私は…」
「大丈夫です…もう僕は誰にも負けませんよ…」