異世界青春譚6(番外編)
「おはようございますご主人様♡」かわいらしい声が耳元で響く。あまりの衝撃にアカツキはベッドから飛び起き、空いていた窓から転がり落ちた。
「あっ、アカツキ!?大丈夫ですか!?アカツキ?」頭を打ち、悶えているアカツキにアケボノが声をかける。アケボノはかわいらしいメイド服に身を包んでいた。細い太ももと腕をを惜しげなくさらして、色白の頬は少し恥ずかしそうに赤らんでいる。アカツキがひっくり返っているからかもしれないが、フリルのついているスカートはかなりきわどいところまで見えてしまっている。「そんなにじろじろ見ないでくださいよ…」アケボノがジトっとした目を向けながらしゃがみ込み、アカツキに手を貸す。
「どうしたの、その恰好?」おっかなびっくりアカツキが問いかける。
「…そそのかされました。商人に。」我に返ったのかアケボノが顔を覆ってうつむく。さらさらの銀髪はツインテールにされて、ヘッドドレスが頭頂部を飾っている。
「可愛いと思うよ。」アカツキは自分の口下手さを恨みながら伝える。
「ありがとうございます…きっ、着替えてきますね!」アケボノはパタパタと家の奥、自室へと引っ込む。
しばらく唖然としていたが、現実に戻り無意識にぽつりとこぼす。「可愛かったのにな」頬にあてた手が熱くなる。自分があの服装を嫌いではないことに気が付く。
ばつの悪さをごまかすように「鍛錬するかぁ…」とつぶやき、アカツキは熱くなった頬を叩き、森へと向かった。