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異世界青春譚 5.5
「はぁ、はぁ」アケボノは肩で息をする。「あー、買い物袋忘れてきちゃった…」恥ずかしさのあまり逃げてきたが、後先を考えていなかったことに気が付く。
「あーもう、ほんとにだめだな私は…」アカツキに対してどんな顔をしたらよいのかはまだ思いつかないが、とりあえず謝らなければいけないと思い立ち、顔を上げる。
「買い物袋探さなきゃ…」変身魔法をかけなおし、再び街へと向かう。顔があったらなんと言おうか、そもそもなんであんなことをしてしまったのか。ついぐるぐると考え込みながらとぼとぼと歩く。ふと鋭敏な耳で足音をとらえ、顔を上げる。「あ、かつき…」
「うん、買い物袋忘れてたぞ?」にこにこしながらアカツキは言う。平静を装っているのだろうが頬は赤い。アケボノもきっと顔が真っ赤だ。なんだかおかしくなりふふっと笑う。
アカツキもつられて顔を緩める。「帰ろうか。私たちの家に」笑って言うと、アカツキがうなずく。二人は家へと向かって歩き始めた。