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3-4 どういう風に見て欲しい?

 2か月後。コハルたちのグループはそれぞれの作業を順調に進めていた。

 キャサリンの忍耐のおかげでもある。コハルは戦々恐々としながらも,何とかうまく行けるかな、と思っていた。

 そうは言ってもカミラは相変わらず、他のメンバーに対し苛立ちを抑えるので精いっぱいだった。他の二人だけでなく,コハルの自信のない話し方も気に入らないらしい。

 加えて彼女はヘレンに謝罪をしておらず,話しかけもしない。実際、ヘレンは全体の進捗にはあまり貢献していないので,あまり話しかけずに済むのだった。

 

 だが、そんな気まずい中でも,カミラ以外のメンバーは仲睦まじく,お互いに助け合いながら活動していた。ヘレンも二人のサポートと空き時間のフル活用によって,語彙力や読解力が少しずつだが確実に向上していた。

 ……だが,そうしてにこにこしながら「頑張ります!」と息巻く彼女の姿は,むしろカミラの神経を逆なでしていた。


「やっぱりヘレンは,ふわふわがいっぱいなお洋服が好きですぅ!」


「似合いそうだよねー,ヘレンちゃん自体,マシュマロみたいでかわいいもん。」


「えへへへっ……。」


「ん~,アタシはそう言うの苦手だなー。ひらひらしてんのって邪魔じゃん。就職してからも,休み時間とかすぐバスケやりたいし。やっぱり動きやすいのに限るわー。」


「あー,キャサリンちゃんらしいね……そしたら,ズボンとかの方がいいのかな?」


「…………いや。ズボンは,一時期好きだった気がするけど……なんで……あ,あれじゃん。スカートの方が解放感あるからじゃない?」


「そ,そっか……でも,短いスカートだと――」


「ていうかさ,コハルはどういうのが良いわけ?」


「え,わ,私は……実は、あんまりよくわかってなくて……私服は普通に無地のワンピースとか,落ち着いた奴が多いかな……。でも、好きって程じゃないし……。」


「なんだよ,はっきりしろよぉ~。」


「うーん……。」


「服自体が好きじゃなくてもさ,どういう風に見られたいとかないの?」


「どういう、風に……。」


「うーん,それも大事ですよねぇ~……。コハルさんは,スイレン先輩の好みの服を探さないといけないのです!」


「うん……って,え!?へ,ヘレンちゃん,今なんて!?」


「え,だからぁ,スイレン先輩の好みの服を……。」


「は?え、お前……そう言うこと!?おいおいコハルぅ!なんだよぉ、そういうの消極的なタイプかと思ってたぜ!」


「いや,あの,ちが……!べ,べべ別に,そこまで積極的じゃないし……。」


 自分の髪以上に濃い色に顔を染めるコハルを,ヘレンとキャサリンがはやし立てる。


「ヘレンの目はごまかせませーん!コハルさんはもう『ぞっこん』なのです!」


「うえぇ,やめてよぉ……ていうかヘレンちゃん,なんでそんな言葉だけすぐ覚えるの……!」


 そんな会話の外で黙っていたカミラは、さきほどから肩を震わせていたが,とうとう我慢の限界とばかりに机を叩いて立ち上がった。


「——いい加減にしてよ!」

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