蓮の守護者の探偵
久二は目を細めて
「君は結構絵に詳しいんだね」
見習いの高校生でもちゃんと勉強しているんだ
と告げた。
が、それに剛士は
「いや、彼が絵の鑑定などを行っていて私が警備の方を担当しています」
と答えた。
久二は驚いて暫くの間を開けると
「なるほど」
と答え、少し考えると
「…ならば」
と呟き再び足を進めた。
夕矢は目を見開くと
「…これも偽物だ」
と告げた。
「先のと同じで一目でわかる」
久二は息を吐き出し
「…お二人にお話があります」
と言い
「外でお茶をしながら」
と歩き出した。
剛士と夕矢は顔を見合わせて彼の後に付いて進んだ。
久二は建物を出て少し行った先の洋食店の二階の個室に入ると
「好きなのを頼んでください」
と言いウエイターに注文を通すと
「…菱尾湖南の『蓮』は盗まれたんです」
と告げた。
「先程の奥村忠隆の絵も盗まれてしまって」
置き換えられていたんです
二人は顔を見合わせた。
久二はふぅと息を吐き出し
「最初はここのところ美術館に盗みに入っている怪盗クロウかと思いましたが予告も出ていないしいつの間にか入れ替わっているという」
と顔を顰め
「私は、こういうことはダメだと思うのですがスタッフの誰かがしているのではないかと」
と告げた。
それで美術館の外での話になったのだ。
剛士は息を吐き出すと
「菱尾湖南の『蓮』も被害に…か」
と呟いた。
久二は頷いた。
「しかし、菱尾湖南の『蓮』は展示している絵の中ではこう言っては何ですが価値がかなり低いので」
理由はわかりません
夕矢は彼に
「他に入れ替わっていた絵は」
と聞いた。
久二は思い出しながら
「その二枚と長柄達夫の『京都大橋』と水野はつの『雪の日』ですね」
と告げた。
夕矢は腕を組み
「画家の名前だけで言えばどれもそれほど有名でない作家ですよね」
さっと館内を見ただけど
「有名な画家の絵が結構飾っていたけど」
気付いたのはあれだけだから…もしかしたら他のも
と呟いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。