ステンドグラスの鳳凰
剛士は顔を顰め
「申し訳ないが…館の見取り図を見せてもらえないだろうか?」
と聞いた。
「考えればあのステンドグラスだけ北側にあるのではないかと」
夕弦はハッとして剛士を見た。
「確かに…そうだな」
幸村は慌てて立ち上がると執事を呼び見取り図を持って来させたのである。
そして、三人は顔を見合わせると息を飲みこんだ。
幸村は息を吐き出し
「…確かにあのステンドグラスは唯一北側にあるものだ」
と告げた。
「だが、俺には鳳凰にしか見えないんだが」
夕矢は息を飲みこむと
「俺、絵上手くないけど…紙に描いてみる」
大学で美術方面の勉強するつもりだから絵の練習もしないといけないと思うし
と告げた。
幸村は「ほぅ」と声を零すと
「絵が上手くないのに画家を目指すのかい?」
と聞いた。
夕矢は首を振り
「絵を描くよりは美術を科学的な方面からと美術史とを学ぶって感じかな」
と答えた。
「今の仕事を続けたいから」
もっと深く知識をつけたいんだ
夕弦は夕矢がいつの間にか未来を見据え深く考えていることに笑みを浮かべた。
剛士も同様であった。
幸村は「ああ、確か美術品のボディーガードみたいな仕事をしているとか」と言い
「だったら、私がオーナーをしている美術館で何かあれば君を指名させてもらうよ」
と告げた。
夕矢は笑顔で
「ありがとうございます!」
と答えた。
そして、ステンドグラスを見ながら見えている絵を描き、色を幸村や夕弦や剛士に分るようにつけた。
幸村はそれを見て
「こんな風に見えているのか」
と驚き
「しかし、これは鳳凰の絵にまるで岩手と宮城と福島の地図のように見える」
と呟いた。
それは取りも直さず西東北区画の地図であった。
夕矢はダイヤモンドのある場所も描いており
「やっぱり、地図の中にあるんだ」
と心で呟いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




