ステンドグラスの鳳凰
執事が誘うままに階段を登り右手にあるドローイングルームへと入った。
ソファとローテーブルがあり執事は
「どうぞ、こちらでお待ちください」
と言うと夕矢達が座るのに合わせて部屋を後にした。
夕矢はその部屋の窓を見て
「階段の上のステンドグラスも綺麗だったけどここの部屋のステンドグラスも綺麗だよな」
百合の花だ
と呟いた。
そこにこの館の主である国分幸村が姿を見せた。
夕弦と剛士と夕矢は立ち上がると頭を下げた。
幸村は三人を見て
「それで、この区画に関する秘密を見てくれるのはどちらの方ですか?」
と夕弦に尋ねた。
夕弦は夕矢を見ると
「弟の夕矢です」
と小さく頷いた。
夕矢は頭を下げて
「宜しくお願いします」
と答えた。
幸村は夕矢を見ると
「では、お願いする」
と告げた。
そして、謂れを書いた手紙を差し出した。
紙は古いものなので色が変わっていたが文字は消えていなかった。
『館にある唯一の窓にこの区画の心臓を示した』
もしもの時はそこへ導くべし
夕弦はそれを剛士と夕矢に見せた。
剛士は手紙に目を通すと
「唯一の窓…か」
と呟いた。
「その窓は何処に?」
幸村は腕を組むと首を振った。
「わからない」
館のステンドグラスを全て見たが特段変わったものはなかった
「部屋のステンドグラスはこの部屋の百合のように全て花がモチーフになっている」
廊下や他のステンドグラスは鳥をモチーフにしたものだな
…。
…。
夕矢と剛士は同時に言葉を失った。
どれが問題の窓ガラスか分からないのだ。
夕弦も頷いて
「俺が見ても分からなかった」
と告げた。
夕矢は少し考えて
「じゃあ、俺が全部見て回る」
とあっさり答えた。
剛士と夕弦は
「「大丈夫か?」」
と聞いた。
これまではモノは分かっていたのだ。
ただどうなっているのか分からなかったということで、集中して見れば済む話であった。
が、恐らく全て見ようと思うと20枚は下らない。
それだけ集中しなければならないということだ。
夕矢は頷き
「俺、多分もう分ってる」
とさっぱり答えた。
「けど、一応確認したいから全部見て回る」
幸村もそれには息を飲みこんだ。
「君にはもう分っているのか?」
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




