ステンドグラスの鳳凰
夕矢は目を見開くと
「おっ」
と驚き、画面に出てきた名前に
「尊?」
と相手の名前を呟いた。
珍しいことである。
大抵はLINEで遣り取りをしているのだが、何か余程のことがあったのだろうか?
夕矢は応答ボタンを押して
「もしもーし」
何かあったのか?
と聞いた。
携帯の向こうの芒野尊は
「今大丈夫か?」
と告げた。
夕矢は頷き
「大丈夫、勉強も終わったところだし」
と答えた。
尊は息を吐き出すと
「あのさぁ、この前話した俺の好きな人のこと覚えてる?」
と聞いた。
夕矢は4月に一旦東京へ戻った時のことを思い出しながら
「ああ、9歳年上の女性の人って言ってたよな」
その人に気付いてもらうために科学を勉強するって
と返した。
尊は鼻を啜り
「そう、東都大学へ行って理学部に入る気持ちは変えてないしその人を助けるためにも同じ道へ行きたいと思っているんだが」
真理子さん警察辞めたって
「何か、力になりたい探偵『君』がいるから探偵事務所に就職したって」
と告げた。
夕矢はあんぐりと口を開けたまま横目で携帯を見た。
「探偵『君』ってそれって…尊…失恋したってことじゃ」
尊は泣きながら
「言ってくれるな」
と言い
「桔梗や三つ葉には言い難くて…まだ言ってないけどさ」
夕矢に聞いてもらいたくて
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




