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怪盗クロウ再び

点検をして額縁に入れる時の様子に夕矢は声を上げた。

「額縁に絵が入ってる」


全員が驚愕した。

偽の絵を額縁に入れて本物を入れなかったのだ。


他の作業員が他の事をしている一瞬のまるで手品のような手法であった。


全員が呆然と立ち尽くしているそこへ先ほどの赤尾和美が駆け込んできた。

「すみません!守永鑑定所の守永さんが昨夜の作業はこちらからキャンセルの連絡があって誰も派遣していないと」


勝男はへなへなと座り込んだ。


剛士は腕を組むと

「確かに予告通りに5月31日…の犯行か」

と呟いた。


しかし、夕矢は画面を見つめ

「違う」

というと再生画面の右下を指差して

「ほら、作業自体は昨日の11時だから」

と言い、勝男を見ると

「保管庫に連れて行ってください」

と告げた。


勝男は頷くと

「は、はい!」

と答え、剛士と夕矢は再び彼の後について保管庫へと向かった。


剛士は夕矢を見ると

「夕矢君」

と呼びかけた。


夕矢は剛士を見ると

「末枯野のおじさん」

恐らくクロウは本物を何処かに隠して偽物を展示させて

「この前のように一瞬視界を奪って張り紙だけ張ってこの館内に隠しておいた絵を持って逃げるつもりなんだと思う」

前に失敗したから今回はそう言う形にしたんじゃないかと

「だったら、今日の犯行になるだろ?」

と告げた。


剛士はホゥと呟くと

「なるほど」

と納得した。


夕矢は更に

「そう考えたら隠す場所は再び絵を調べるように言われた時に自分が作業できる場所に違いない」

と付け加えた。


勝男が保管庫を開けると夕矢は

「昨日までと比べて新しく置かれているモノはありませんか?」

調べてください

と告げた。


勝男は頷くと

「管理の為に全てのケースに番号を振って管理しております」

と言いケースをスタッフと共に調べた。


そして、防犯カメラに映っていたアタッシュケースの取っ手が外され紛れ混んでいた番号シールのないケースをスタッフの一人が見つけると

「これ!うちのケースじゃないです!」

と叫んだ。


全員が駆け寄り勝男は固唾を飲みこむと手袋をしてケースを開けた。

そこに森宗光の夕暮れが傷まないように入れられていたのである。


勝男もスタッフも安堵するとその場に座り込み

「「「「良かった」」」」

と呟いた。


それを恐らく何処からか見ていたのだろう開館後に一瞬停電が起きて、その間にそのまま展示しておいた偽物の森宗光の夕暮れの額縁にカードが貼りつけられたのである。


『本物を見つけられたようですので今日は諦めましょう。慧眼の君がいたとは今回は運が悪かったようだ 怪盗クロウ』


それを見て夕矢も勝男も剛士も安堵の笑みを浮かべたのである。

夕矢は無事に閉館の5時を迎えると剛士と共に仙台秋保美術館を後にした。


その様子を駐車場の車の中から一人の男性が見送り小さく笑みを浮かべた。

「私の最大の誤算はあの彼がいたことですね」

邪魔者は去った事だし

「あの絵を返してもらいましょうか」


そう言って車のエンジンを入れたのである。


夕矢は家に帰り、自室に入ると窓の向こうの景色を見つめた。

「怪盗クロウ…か」

春彦さんの調査報告待ちか

「金の為なのかな?それとも詩音ちゃんと同じように何かあるんだろうか」


そう呟いたものの答え返ることはなかった。


ただ、展示公開が終わり安積美術館のスタッフが取りに来たその帰り道でクロウにまんまと絵を盗まれたのである。

その話は勝馬から連絡が入り知りえるところとなったのである。


夕矢はそれを聞き

「クロウの目的か」

と自室から外を眺めながら呟くしかなかった。


同時に何処かでまた彼と会うだろうと予感がしたのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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