怪盗クロウ再び
券売り場で券を買い、受付に入るとフロントから二階の展示場へと向かう階段とエレベーターがある。
フロントの奥にはショップがありそこに併設されて事務所がある。
勝男はその事務所に二人を入れると応接室のソファに座るように勧めた。
「どうぞ」
言われ、夕矢と剛士はソファに座り勝男が事務員に持って来させた紙に目を向けた。
勝男は紙を受け取ると二人の前に滑らせるように置いた。
「これが予告状です」
紙には
『貴美術館が借りている森宗光の夕暮れを5月31日に盗ませていただきます 怪盗クロウ』
と書かれていた。
夕矢はそれを手にすると
「今回は日付け入りだ」
と呟いた。
前は日付けが入っていなかったのだ。
だが、今回は日付けが入っている。
それに勝男は頷くと
「そうですね」
と言い
「怪盗クロウは他にも幾つかの美術館で盗みを働いていて今は他の美術館でも予告状にピリピリしているんですよ」
ただ日付けが入っているのは珍しいですね
と告げた。
夕矢は目を見開くと
「へー、俺は1月下旬にあった杜の都伊達美術館の犯行くらいしか知らないけど」
とぼやいた。
剛士も頷いた。
「そうだな」
勝男は溜息を零すと
「私も聞いたのはその杜の都伊達美術館が初めてだったんですが…どうやら他の都道府県では去年くらいから出没していたようです」
ただ美術館のメンツもあって内密にしていたようです
「杜の都伊達美術館でのクロウの失敗の話が出回って噴出したんですよ」
美術館のあいだで
と告げた。
夕矢は「そうだったんだ」と呟いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。