怪盗クロウ再び
東京から仙台に戻って数日が過ぎた。
陸奥詩音が九州の実家に戻り、夕矢は彼女の遺志を継いで菱尾湖南の未だ見つかっていない残りの絵画を探すことを一つの目標に日々を過ごしていた。
梅雨入り手前の5月下旬。
仙台にある美術館から警護依頼が入ったのである。
現在、窓口は三嶋悟だが彼からは末枯野剛士へと依頼は流れている。
剛士が状況を判断して夕矢へと知らされるのだ。
その日の夕方、剛士は夕矢へと今回の依頼の話を告げた。
「仙台秋保美術館から警護依頼が来ているんだが」
言われ、夕矢は夕弦と剛士の前に夕飯のロコモコ丼を置きながら
「仙台秋保美術館?」
と聞き返した。
剛士は頷き
「ああ、仙台市の太白区の秋保温泉街の入口辺りある美術館らしいがそこの美術館に予告状が届いたので警護してほしいということだ」
と告げた。
夕矢は何となく予感を過らせ
「もしかして…この前の」
と呟いた。
剛士は冷静に「その通り、怪盗クロウと書かれているらしい」と答えた。
「夕矢君は怪盗づくめだな」
夕矢は自分の前にもロコモコ丼を置きながら
「それ嬉しくない」
と言い
「けど、分った」
と答えた。
「俺が決めて始めた仕事だからちゃんとする」
剛士も隣に座っていた夕弦も彼の言葉に
「「大人になったな」」
と思わず感心した。
考えれば東京にいる間に誕生日を越えて18歳になったのだ。
成人したのである。
翌日、夕弦は止まっていた家系探しに出かけ、剛士と夕矢は準備を整えると仙台秋保美術館へと向かった。
そこは自然あふれる美術館であった。
写真推理
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




