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約束
小さな滝の横手から放物面の丘が見える。
その写真の滝や岩の形に夕矢は身に覚えがあった。
彼は兄の夕矢が写真を白露元へと送っている傍で夕食を作りながら
「あれって、夏月先生の思い出の場所だよね」
木々が茂ってて今はあそこから丘は見えないけど
「あの小さな滝はあの滝だ」
と呟き、じっとフライパンの中の玉ねぎを見つめた。
今夜のおかずは野菜炒めである。
焼き肉用の牛肉と野菜を炒めて焼き肉のたれで味をつける。
意外と簡単な料理であった。
夕矢は数日後に兄の夕弦と剛士が覚悟を決めたように家を出ていく姿を見送り
「頑張れ、兄貴に末枯野おじさん」
と心で呟き、自室へと入った。
そこに残りの写真が保管されているのである。
写真推理
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




