思わぬ場所の光
二子バラ園は二子玉川駅から徒歩10分程で多摩川二子橋公園の近くにあり、駅からは信号を渡って玉川通りを多摩川の方へと下り橋を渡って遊歩道を歩いていく形である。
遊歩道から緑の公園の風景と晴れ渡った空から降り注ぐ陽光を受けてキラキラと水面を輝かせる多摩川が見て、散歩するにも良い場所であった。
そこを少し歩き厚木街道の高架下を通るとバラ園が見えてくるのである。
公園の一角のような位置づけで鉄の柵にも綺麗に薔薇が巻き付き花を咲かせている。
門を潜ると正面に噴水があり周囲にいくつもの薔薇が植えられていた。
洋館の扉は何か特別なイベントがある時だけ入れるようになっており常時は鍵が閉まっていて、夕矢達は裏手に回って小さな池とその周囲に植えられた花を見た。
夕矢はそれを見て
「確かに、似ているけど」
と言い、池を挟んで洋館とは反対側に回ってみたが
「…う~ん」
と唸った。
冴姫は覗き込んで
「違うわね」
とあっさり告げた。
「洋館の階が違うわ」
尊は目を見開くと
「確かに窓の数が違う」
と言い
「残念」
と告げた。
冴姫は携帯を出すと
「でも、映えるから正面から洋館と薔薇とって良い?」
と告げた。
「綺麗だし、東雲君もとって詩音ちゃんに送りなさいよ」
夕矢はハッとすると
「だ、だよな」
と答えた。
全員で話をしながら写真を撮り終えると貢が手帳を見て
「次は東京白露美術館だよね」
場所は喜多見の方だからバス移動が良いと思う
「ここからだと吉沢のバス停が近いからそこから乗って砧中学校下で降りるのが一番良いと思うけど」
と告げた。
時刻は11時である。
貢は時計を見て
「バスが11時26分ごろに来るけどどうする?」
少し早歩きすれば間に合うけど
と聞いた。
全員が「「「次は?」」」と聞いた。
貢は手帳を見て
「次は11時56分」
と答えた。
全員がバッと出口を見ると
「26分!」
と駆け出した。
貢は慌てて
「あー、場所こっちだから」
と走った。
多摩堤通りへと出るとバス停へと向かって走った。
ちょうど調布駅南口行の小田急バスが横手を通り手前の停留所で停まった。
それに夕矢が最初に乗り口に立ち
「すみません、ありがとうございます」
と中に呼びかけて、全員が到着すると乗り込んだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




