思わぬ場所の光
貢が手帳を見ながら
「えーと、探したのは全部で6か所なんだけど全部違ってた」
と答えた。
「洋館は似ていたけど池が無かったり」
池があっても方向の見え方が違ってたりで
「でも数が多くて」
それに深く尊も冴姫も頷いた。
尊は大きく息を吐き出すと
「写真見ていくだけでも二日くらい掛かったな」
三人で
と告げた。
夕矢は「そうなんだ」と頷くと
「そこの6カ所の場所は省いてだな」
と言い、図書館のパソコンの前に座ると『関東 洋館 花 池』で検索をかけた。
それに尊が
「おいおい、それだともっと検索範囲が狭まらないか?」
検索漏れ起こす気がするけど
と告げた。
夕矢は頷き
「普通はな」
と答え
「けど、余計なものは省けるだろ?」
と告げた。
「これが本当の探し物ならネットで探せない場所の可能性だってあるけどな」
それに全員が腕を組んで唸った。
夕矢の言っている意味が分からなかったのだ。
詩音はハッとすると
「確かにそんな探せない場所をその…クイズに出すかしら?」
と告げた。
「本当に答えを知らないなら有り得るけど、これは、桔梗さんの叔父さんの宝物探しゲームなんだよね」
楽しませるためのゲームならちゃんと答えが見つかるようになってると思うわ
夕矢は笑顔を浮かべると
「俺もそう思った」
と答えた。
それに尊も貢も冴姫も目を見開いて
「「「そっか」」」
と呟いた。
今まで夕矢と探してきた所は本当に『何処か分からない』場所だったのだ。
その感覚があったので出来るだけヒット数の多い方法で探したのだが、それが反対にアダとなっていたようである。
尊も貢も冴姫も笑顔で
「だったら、数は絞れるし」
と告げた。
冴姫も「だよね」と言い
「それに移動するのに前みたいに新幹線だったら大変だし」
私たちが遊びに行ける程度の距離よね
と答えた。
貢は「俺、叔父さんのこと全然わかってなかったな」と呟いた。
そして、みんなを見回して
「叔父さん、俺が元気なかったのを見てこんなゲームを考えてくれたんだ」
ごめんな、突き合わせて
と告げた。
それに尊は
「俺も一緒だし、こうやって色々出かけたり探したりするの楽しいから」
俺からお礼言いたいぜ
「サンキューな、桔梗」
と笑顔で告げた。
冴姫も頷いて
「そうだよ、今まで見つかってなくても楽しかったんだから…よし、叔父さんに楽しんでますって写真見せないとね!」
と告げた。
夕矢も頷いて
「そうそう、俺も皆とまたこうやって場所探しできるのスッゲー嬉しい」
と告げた。
詩音も笑顔で頷いた。
「凄く優しい叔父さんなんだね」
それに大きく頷いた桔梗を見て詩音は笑顔を深めた。
そう言う人の優しさに気付けるということが今まで自分にはなかったのだ。
拗ねて。
背中を向けて。
自分だけが苦しいと思い込んでいた。
だが、本当は父にも母にも自分は愛されていたのだ。
初めて会った異父兄弟の兄ですら自分を優しく包んでくれたのだ。
詩音はふと目の合った夕矢に笑顔を見せると
「ありがとう」
と小さな声で告げた。
彼が手を引っ張ってくれたのだ。
前へと歩かせてくれたのだ。
夕矢は詩音の笑顔に笑みを見せて、パソコンの検索画面を見ると
「やっぱり、かなり数が絞れたよな」
と言い
「この中に先の6か所があったらそこは消去する」
と告げた。
「検索数は多いけど同じ場所が違う形で何度もヒットしている感じだから、実際の数はもっと減ると思う」
それに4人は頷いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




