写真探索再び
翌日、夕矢は詩音と東都電鉄の文京で落ち合うと四辻橋駅へと出かけた。
そこに三人の人間が待っていたのである。
芒野尊と桔梗貢と三つ葉冴姫であった。
大切な親友たちである。
桜並木の綺麗な川沿いの駅である。
まだ桜の時期には早いが気持ちよく散歩のできる場所であった。
しかも、商業施設があるので食事なども出来るのである。
三人は駅の改札を抜けたところで待っており、夕矢と詩音が現れると大きく目を見開いた。
尊は「うぉ」というと
「夕矢、背が凄く伸びたな」
と上から下までジーと見た。
「それに詩音ちゃん?めちゃかわじゃん」
「このこのこの」と肘で小突いた。
貢も驚きながら
「ホントだ、東雲君。身体もシュッとして身長伸びてるし…俺、びっくりした」
と言い、詩音を見ると
「初めまして、陸奥さん」
と頭を下げた。
冴姫もくすくす笑いながら
「東雲君、可愛い子掴まえたね」
東雲君には勿体ない
と告げた。
夕矢は相変わらずのメンバーの反応に
「あのなー、そんなに変わってないって」
そんなに人が形態変化したみたいにいうな!
とムーと怒った。
尊は笑って
「ゲームならボス級だな」
HPが減ると形態変化するって奴だ
と告げた。
貢は「いや、今ならパワーもそうかも」と相槌を打った。
詩音は余りのガチャガチャ具合に反応に困っていたものの
「初めまして、宜しくお願いします」
と頭を下げた。
陸奥家の娘である。
礼儀が必要な場所ではそれなりの行動がとれるのだ。
冴姫は笑顔で
「こっちこそ宜しく」
と答え
「そうだ」
と言うと鞄から本を取り出した。
「東雲君が彼女を連れてくるって話だったからこれを持ってきたの」
そう言って夏月直彦の本を出した。
「夏月先生の新作恋愛もの!」
…。
…。
尊と夕矢は同時にうっと息を飲みこんだ。
思い出したのである。
冴姫は詩音に本を渡すと
「すっごく良いから、読んでね」
プレゼントよ
とフフッと笑みを浮かべた。
詩音はびっくりして本を受け取り
「あ、でも…もらっていいのかな?」
と呟いた。
冴姫はさっぱり
「いいよ」
と答えた。
貢はビクビクする尊と夕矢を見ると
「俺は読んだからね」
最新刊は全てチェックしている
と告げた。
流石である。
尊はハァと息を吐き出し
「しかし、お前らダブルカップルで俺まだ独り者だからなぁ」
寒い
と呟いた。
冴姫はそれに
「けど、芒野君には思い人がいるんでしょ?」
頑張れ!
と告げた。
それに夕矢は驚くと
「え!?尊に?本当に?」
と問いかけた。
尊は頬を赤らめながら
「ま、あな」
9歳年上の人なんだけどすっげ可愛い人で素敵な人なんだ
「まあ、俺のことは子供子供の扱いなんだけど…そのうち気付かせてやるって思ってる」
だから大学は東都大学へ行って科学を専攻しようと思ってる
と大人の笑顔で告げた。
夕矢はそれを見ると自分が離れていた数か月の間に本当に色々変わったのだと理解した。
皆それぞれに大人になっているのだと分ったのである。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




