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写真探索再び
その二人に誰もが息を飲みこんだ。
女性はあの菱尾湖南が描いた乙女だったのである。
つまり、磐井栞であった。
詩音は驚いて
「…お父さんに、お母さん」
と呟いた。
陸奥初男は磐井栞と中に入ると
「この度は…島津家の春彦さんにそして、直彦くん…お二人にはご迷惑をお掛けした」
と頭を下げた。
直彦は驚いて二人を見つめた。
分かるのだ。
春彦が前に言ったことがあったが…自分の母親というモノが分かるのだ。
栞は詩音を見ると静かに微笑み、直彦を見るとそっと足を進めた。
「直彦ね」
直樹さんにソックリだわ
言ってそっと手に指先を触れた。
「あの人が…直樹さんが来たわ」
それに全員が驚いた。
直彦は言葉が出なかった。
何を言えばいいのか分からなかったのだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




