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フォトリーズニング  作者: 如月いさみ


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32/123

写真探索再び

夕矢と詩音は風呂に入ると夕食を食べてビリングで夜の東京を見つめた。

詩音は真っ暗な中に明るく照り付ける都会の明かりを見つめ

「私ね、母にずっと『なおひこ』って呼ばれていて…あの人を恨んでた」

と呟いた。


夕矢は小さく頷いて沈黙を守った。

彼女は同意が欲しいのではなく誰かに聞いて欲しいだけなのだと分っていたからである。


詩音は夕矢を見ると

「でも、今日…会ってわかったの」

本当はあの人の方が…兄さんの方がきっとずっと辛かったんだって

「私は母が傍にいて父が傍にいて…父は私をそれでも大切にしてくれていたんだって分かる」

だけどあの人は辛い時も苦しい時も自分で乗り越えなきゃならなかったんだって

と告げた。


夕矢はそれを聞きながら

「…そうだったのかもしれないな」

と呟いた。


16歳で小説を書き始めて18歳で弟の春彦と二人で暮らしだしたのだ。

愛する女性とは離れ離れでどんな思いでこれまで生きて来たのか。


夕矢は静かに詩音を見ると

「でも、先生は辛いと思ってないと思う」

と告げた。

「先生には弟の春彦さんもいたし津村さんや太陽ちゃんや…今は兄貴や末枯野のおじさんや白露さんや允華さんもいるし」

それに今度は詩音ちゃんがいる

「俺も先生のこと好きだよ」

良い人だと思う

そう笑顔で付け加えた。


「きっと悩みや泣きたいことは沢山あったと思うけど…乗り越えてきた人だと思う」

それは一人じゃなくて周りに先生を助ける人がいたから出来たんだと俺は思う

「先生はそれを分かっているからきっと辛いと思ってないと思うよ」


詩音は目を見開いて

「うん」

と頷いた。

「私にも、樹がいたし…今は夕矢君もいるね」


夕矢は顔を真っ赤にしながら

「ん、頑張る」

と笑顔で告げた。


そして優しく抱きしめると

「だから、先生は大丈夫」

詩音ちゃんの血も一杯受け取ったんだから

と告げた。


詩音は夕矢の温もりに目を閉じて

「うん、ありがとう」

夕矢君

と答えた。


二人は暫く外を見つめ、それぞれ寝室にいくと睡眠をとった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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