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詩音と直彦の秘密

夕矢が陸奥詩音を合流した連絡を受けた夕弦と剛士はマンションへ連れてくるように告げた。


北海道でのことは被害届が出ていないというか事件自体になっていなかったので不問となるが、先の弘前成田収蔵レンガ美術館の件については話をしなければならなかったからである。


剛士が美術館に話をしたところ展示していた方のキャンパスを剥がして写真を取り出すことが出来た報告を聞き、二枚の絵を飾ることを承諾してもらう代わりに騒ぎは不問にしたいとの申し入れがあった。


詩音がマンションに着くと剛士が

「そういう話なんだが」

君の意見を聞きたい

と告げた。

「取り出した写真が何を示しているのか」

君が何故集めているのか分からないので君の意見を重要視したいと俺は思っている


彼女はマンションのリビングの椅子に座り夕矢と夕弦と剛士を見た。

「あの写真は…本当は兄のモノです」


夕矢は首を傾げて

「兄というのは陸奥樹君?」

と聞いた。


詩音は首を振り

「秋月直彦…本来はそう呼ばれるはずだった人です」

と彼らを真っ直ぐ見た。

「でも、これが公になったら命を狙われるかもしれない」

だから

「極秘に集めないといけなかった」


夕弦も腰を浮かして

「秋月家の…もしかして末裔…」

と聞いた。


彼女は頷き

「あれは秋月直樹という人が持っていた写真なんです」

それを残して九州へ行って行方不明になって

「父が母を守る為に無理やり九州の陸奥家の離れに監禁して…その写真を狙っている人に分らないように地方へとばら撒いたんです」

と告げた。


夕弦と剛士は顔を見合わせた。


夕矢は彼女の目を見つめ

「夏月先生、だよな」

君と乙女と…同じ目をしてる

と告げた。


夕弦と剛士は同時に

「「まさか、夏月が?」」

と息を飲みこんだ。


詩音は頷いて

「そう、夏月直彦は…秋月直樹と私の母の磐井栞との子供です」

お母さんが唯一愛した…お母さんの子…

と唇を噛みしめて告げた。


夕矢は詩音を抱き締めると

「お母さんは君も愛していると俺は思う」

きっとわかってくれるし

「君に気付いてくれる」

と微笑みかけた。


しかし。

まさか。


夕弦は大きく息を吐き出し

「夏月は…このことを知っているのか?」

とぼやいた。

剛士は腕を組んで深呼吸すると

「知らんだろ」

知っていたら連絡が来るはずだ

と告げた。


テーブルに置いている全ての写真を見て夕弦は

「ただ、この写真…何を意味しているかだな」

と呟いた。


夕矢はそれに

「俺、北海道の神威さんと天童さん所にあったあの分かりにくいガラス作りの置物で地形の中で一か所だけダイヤが嵌っている場所があったと思うんだけど…そこの風景だと思うんだ」

と告げた。

「多分、津村さんか白露さんか…もし他に特別な家系が東京にあるんだったらその誰かも同じようにガラス細工のそういう変な置物を持っていてそこが示しているのは多摩川の近くにあるあそこだと思う」

夏月先生と朧さんの思い出の場所


夕弦は夕矢を見て

「何故?」

と聞いた。


夕弦は写真を指さして

「周囲は全部違うけど…丘の形はみんな同じで前に放物面の丘の写真の話をしただろ?」

あれといっしょだから

「あれは夏月先生と朧さんの思い出の場所で一般の人が入れない私有地になってた」

と説明した。

「きっと14枚の写真の中にあるはずだ」


夕弦は腕を組むと

「そうなら…公に動くと夏月の身も危ないし写真も狙われる可能性があるな」

と呟いた。

「極秘に動くしかないか」


剛士も頷いた。


夕矢は携帯を出すと

「その乙女の絵の購入者リストは春彦さんから貰ってる」

と告げた。

「多分、春彦さんも夏月先生の出生については気付いていると思うから会ったら言うと思う」

俺の知らないことを春彦さんは知っていると思うし反対に春彦さんはまだこの写真については知らないと思う


夕弦は夕矢を見ると

「わかった」

というと

「夕矢は剛士に訓練を受けながら詩音さんを守ることに専念するように」

詩音さんは俺達と行動を共にしてもらいたい

「君の身を守る為にも」

と告げた。


詩音はそれに首を振ると

「私は一度九州へ帰ります」

年始年末の挨拶もあるし

と告げた。

「その写真の回収の事が知られていないので私は大丈夫」

それよりもこのことが分ったらあの人の方が心配かも


剛士は「夏月か」と呟いた。


夕弦は息を吐き出して

「とにかく、容易に報告は出来ないな…機会を見て直接会って話をする」

絵の中の写真の回収も仕事になるだろうからその辺りの交渉も考えないとな

と告げた。

「絵の回収は任せてもらえるかな?」


詩音は頷いて

「新年の挨拶が終わって落ち着いたら家にある絵を持って合流します」

それまで待っていてください

「あと、弘前成田収蔵レンガ美術館の申し出に関しては回収が終わるまで待ってもらうようにお願いします」

父とも話します

と告げた。

そして、笑顔で夕矢を見ると

「私、夕矢君を信じてるから」

大丈夫

「ちゃんと、絵を持って合流する」

と告げた。


夕矢は目を見開くと笑顔で

「ありがとう、詩音」

俺は絶対に君を裏切らない

「写真も大切に預かっておく」

と答えた。


剛士と夕弦はそれを見て同時に

「「子供は成長する」」

と心で呟いた。


詩音はこの日はアスパ青森ホテルで一泊し、翌日、飛行機で九州へ帰ったのである。

夕弦は白露元にそのことを報告し、絵の回収も同時に仕事として請け負った。


もう一人の雇い主である津村隆は直彦と共に九州に行っており春彦から秋月直樹と磐井栞、そして、九州で27年前に起きた事件のことを聞いていたのである。


二人が正月を終えて東京へ戻った後に白露元と津村隆で今後の話をして方針を知らせるとの話であった。

そして、青森での家計調査を終えて夕弦と剛士と夕矢は仙台へと向かうことになったのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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