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詩音と直彦の秘密

そもそもこの転々と移動する旅の最大の目的は兄である東雲夕弦の仕事にあった。

兄の東雲夕弦の仕事は地域の特別な家系の末裔を調べていくことである。


北海道に関しては神威家と木野伊家の末裔を調べ、連携を取ることが出来た。

今回は北東北の家系の末裔調べであった。

後、何処にいるか分からない秋月家の探索である。


北東北の特別な家系は宮沢家と金子家と天童家であった。

北海道でもそうであったが特別な家系はその地域のネットワークがあるのか互いに知っていることが多い。


夕弦は市役所で宮沢、金子、天童の苗字を調べ特別な家系を探していたのである。

その一つ。

天童家の家が分ると譲は早速その館へと向かうことにしたのである。


天童家は青森から奥州街道を通って陸奥湾沿いに平内町へと向かう道中にある浅虫温泉の一画に館を構えていた。

浅虫温泉はちょうど湯ノ島と対面するようにあり、有名な温泉街として旅行客からも知られている場所であった。


夕矢は弘前成田収蔵レンガ美術館の騒動も落ち着き同居している剛士から三嶋悟とは違う方面での訓練を受けていた。


一つは格闘技である。

先の美術館で詩音が格闘技を使えることがわかったので対峙した時に互いが大けがをする前に相手を制する格闘技を学ぶ必要ができたのである。

というか、対峙した時に大けがを負う可能性があるは夕矢の方だったので、これから先のことも考えて格闘技を学ぶことは大切だということで剛士から直々に教わることになったのである。


兄チームの中で格闘技などに一番長けているのは剛士であった。

津村隆や白露元も護身術を身につけているが夏月直彦と夕矢の兄の東雲夕弦に関しては全くな状態であった。


夕弦は「学校で習った柔道ならできるが実践となると俺は大けがをする」とあっさり告げた。

「言っておくが、夏月も同じだからな」とばっちり的に夏月直彦のことも暴露したのである。


場所は青森の駅の近くにある青森スポーツスタジアムを借りて行った。

要請が無い時は朝から夕方まで集中的に格闘技を習い、帰ってから勉強をするという形になった。


この日も、夕弦を見送った後に夕矢はいつものように剛士と共にスポーツスタジアムへと出向いた。


午前中は体力づくりであった。

スポーツスタジアムの一階が広い屋内グラウンドになっており偶数日と奇数日に分けて交互にストレッチ+インターバルトレーニングとストレッチ+筋トレを行っていた。

ただ、夕矢も学校の体育以上のことはしていなかったので体力づくりも初心者向けであった。


午後からは格闘技術…つまり技をスポーツスタジアムの二階にある道場フロアで教わった。

が、ちょうど午前中のジョギング後のダッシュとアクティブレストを8セット行っている最中に剛士の携帯に夕弦から着信が入ったのである。


剛士は夕矢のアクティブレストの30秒をタイマーで測りながら携帯に出ると

「東雲、どうした?」

ん?青い森鉄道?

「ああ、青森の駅から出ている電車だな」

と返した。


軽く身体を動かしながら休息を取っていた夕矢はタイマーが鳴ると最後の400mダッシュを行い、クールダウンのジョギングに入った。

最後はストレッチである。


それだけでもかなりクタクタであった。

夕矢は肩で息をしながら

「マジ、俺なんか格闘家になりそうだ」

と呟いて、携帯を切った剛士を見た。


剛士は手を上げて

「夕矢君」

と呼び寄せると

「今日の練習はここまでだ」

夕弦が浅虫温泉に来て欲しいと言っている

と告げた。


夕矢は頷き

「わかった」

シャワー浴びてくる

と言い、スタジアムの一階の更衣室の横にあるシャワールームへと足を向けた。


剛士も同じようにシャワーを浴びて服を着替えると夕矢に

「浅虫温泉には青い森鉄道を使っていくからそこでゆっくり身体を休めてくれ」

と告げた。


夕矢は頷いて

「車は兄貴が乗っていってるのか?」

と聞いた。


剛士は頷いて

「ああ、こっちは車を使う予定がなかったからな」

と答えた。


二人はスポーツスタジアムを出ると雪かきが済んだ駅までの道を歩き二階に階段を使って上ると改札を抜けて一番手前の1番乗り場のホームに降りた。


既に八戸行きが停車しており慌てて乗り込んだ。

列車は自動ではなく手動で扉が開閉するので東京で暮らしていた夕矢にしても剛士にしても時々開かない扉をボーとみてしまうことがある。


二人は座席に座ると発車のアナウンスとベルを耳に身体を休めた。

浅虫温泉までは約30分。

空は雪国特有の鉛色の空が広がり太陽の光は厚い雲に遮られて届いていなかった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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