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親友たち

兄の東雲夕弦と末枯野剛士が朝のうちに白露家へ出かけると夕矢は芒野尊に電話を入れた。

怪盗クロウの事件が解決した秋の三連休が過ぎ去った次の土曜日のことである。


「中間とかで忙しいかもしれないなぁ」

と思っての電話であった。

が、直ぐに応答があった。


「夕矢か?何かあったのか?」

何時も変わりのない声である。


夕矢は笑顔になると

「俺、東京に帰ってきて皆どうしてるかなぁと思って」

と告げた。


尊はそれに

「おお!会おうぜ!」

俺、今日はアルバイトもないし

と告げた。

「桔梗と三つ葉にも連絡とって直ぐ折り返す」


夕矢は頷いて

「ありがとう」

じゃあ連絡待ってる

と通話を切った。


尊からの連絡はモノの10分程で返ってきた。

桔梗貢も三つ葉冴姫も四辻橋に集まるという話であった。


夕矢はそれを聞くと

「わかった、11時に四辻橋な」

準備していくから

と家の掃除を慌ててして10時40分ごろに家を出た。


写真推理


四辻橋駅は桜並木の有名なところで今は桜紅葉の時期で交差する川沿いは赤く染まっていた。


ホームで合流し改札を抜けると並木道の下を歩きながらノンビリと話を交した。

冴姫は夕矢を見ると

「会うたびに大人になって行ってるって感じだよね」

詩音ちゃんとは上手く行ってるの?

と聞いた。

「夏月先生の本読んでくれてるかなぁ」


そこかい!と尊と夕矢は心で突っ込んだ。


夕矢は笑むと

「時々連絡とってるよ」

と返し

「あー、三つ葉…多分、全作読んでると思う」

先生とちゃんと向き合えたから

と告げた。


それに全員が足を止めて首を傾げた。


夕矢は振り返り

「詩音ちゃんは夏月先生の異父兄妹なんだ」

ちょっと事情が複雑だから公言はなしな

と告げた。


全員が驚いたものの大きく頷いた。

冴姫は両手を合わせると

「先生の妹だったんだー」

いいなー

と呟いた。


尊はそれに

「何が良いんだかわからない」

とぼやいた。


冴姫はにっこり笑うと

「あ、そう言えば一年くらいなるけど本読んだ?」

と尊と夕矢に告げた。


…。

…。


夕矢は「俺も!?」と尊を横目で見た。

完全なるとばっちりである。


夕矢はふぅと息を吐き出すと

「色々バタバタしてたから…頑張る」

と告げた。


尊はフフッと笑うと

「俺は、読んだぜ」

春彦さんのおにーさんの本だし探偵事務所にアルバイトに行くようになったからな

とフハハハハと笑った。


夕矢は尊と見ると

「尊!」

裏切者!

と思わず叫んだ。


尊は笑むと

「こっちで大学受けるんだろ?」

終わったら読めばいいじゃん

と告げた。

「本は逃げないって」


夕矢は頷き

「ただ、俺がしたいのは美術鑑定の知識を深めるためだから」

絵を描くとかデッサンとか実技で落とされそうな気がして

と告げた。


それに貢が冊子を出すと

「うん、芒野からその相談受けてて調べたんだけど」

専門学校だけどこういう学校もあるよ

と夕矢に手渡した。


冴姫も「あ、私も」と専門学校と大学短期大学などの説明書本を夕矢に渡した。

「東雲君は先にこれね」


尊も専門学校などの紹介本を渡した。

「そうそう、足しになればと思ってな」


夕矢は受け取りながら

「…ありがとう、すっげぇ嬉しい」

本当にありがとう

と答えた。


離れていてもこうやって自分を思ってくれる親友がいるのだ。

夕矢は笑顔で

「俺も皆の力になるから」

ありがとう

と答えた。


尊は笑顔で

「もう、相談に乗ってもらってるし気にしなくていいぜ」

と笑った。


貢も頷いて

「そうそう、俺もおじさんの写真で色々助けてもらったんだから」

と告げた。


冴姫はあっさり

「これも先生の小説を読んでもらうための手助けだから気にしなくて良いわ」

と答えた。


夕矢は笑って

「うん、けど感謝してる」

ありがとうな

と答え

「読んで一番いいと思う場所を決める」

と告げた。


その後、近くのファーストフード店に入ってお昼を済ませると夕方に別れた。

誰もが自分の道を選び進んでいるのが分った。


そして、夕矢はもらった冊子の中から一つの専門学校に目を向けた。

美術史や他にも有名な宝石史などもある鑑定育成用の鑑定士育成科のある専門学校であった。


デッサンなどの実技もあるがそれもモノを伝えるためのもので芸術性が高い形ではなかった。


夕矢はそれに

「入試学科も実技よりも筆記だし…勉強したいことがほぼそろってる」

と呟いた。

「東都アートスクールか」


その日の夜に夕矢はそれを夕弦と剛士に告げた。

夕弦と剛士は一瞬顔を見合わせ少々複雑な苦笑を零したものの承諾したのである。


後に分るのだがこの専門学校のオーナーは津村家だったのである。


夕矢はその後、夕弦から西日本会議の話を聞き

「進んでいっているんだ」

と理解すると

「あそこへ…もう一度行こう」

神奈川公園の川沿いにある邸宅

「高島水際線公園から見えたあの池のある家」

と呟いた。

「きっとそこに東京のシステムの場所を秘めたものがある」


兄たちが未来へ進んでいっている。

自分もその力になりたいと思ったのである。


空には月が輝き優しい光を投げかけていた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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