怪盗クロウと真贋の意味
修一郎は腕を組むと
「なるほど」
宝石でそれを読み解くとは
と感心するように告げた。
夕矢は心で
「読み解いたのは春彦さんだけど」
と呟いた。
修一郎は内ポケットから手紙を出し
「実は二日前にこの手紙がセンターの郵便受けに入っておりまして」
と差し出した。
剛士は手紙を受け取り
「怪盗クロウからの予告状ですね」
写恵の伊勢道中14景の1枚を狙っていると
と呟いた。
修一郎は静かに
「はい、そうです」
と答えた。
「慧眼の君を助っ人にお送りしましょうと書かれていたので意味が分からなかったのですが恐らく貴方ですね」
剛士は首を振ると
「いや、俺ではなく」
こちらの東雲夕矢君です
「彼がこちらの鑑定士です」
と告げた。
修一郎は「は?」と驚いた。
夕矢は冷静に
「うん、何度か驚かれたよな」
わかってた
と心で突っ込んだ。
剛士は社会人だ。
自分はまだ高校生だ。
手伝い程度に見られて当り前である。
剛士は笑みを浮かべ
「驚かれると思いますが、三嶋悟氏から薫陶を受けているので安心してください」
と告げた。
修一郎は驚きながら
「ああ、三嶋氏から…絵画や宝石など美術品の警護で有名な」
と言い、夕矢を見て
「ぜひ、お願いします」
予告状に書かれた写恵をお見せいたします
と立ち上がった。
夕矢は修一郎の後について剛士と一緒に歩きながら
「んー」
と呟いた。
剛士は夕矢を見ると
「どうした?」
と聞いた。
夕矢は「どうして、今回だけ俺を呼んだのかなぁって」と言い
「だって俺、怪盗クロウの犯行を阻止したし、今回だって阻止するつもりあるあるだし」
と告げた。
剛士は「確かにそうだな」と呟いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。