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Episode:END 人とはどこまでも救い難い生き物である

 ルーナ・アストレアが生徒会選挙に当選した、その数日後から、生徒会内は激変したと言っても過言ではなかった。


 ルーナは、生徒会に加入してすぐとは思えぬほどの斬新かつ先進的な改革案を次々に打ち出したのだ。


 役員達は、彼女の急進的とさえ言える改革行動に戸惑いや不満の声を洩らしたものの、当の生徒会長であるユーストマ・フェンリスがこれを高く評価した。


 無論、全てを全て今すぐに実行と言うわけにはいかなかったが、ルーナが打ち出した改革案は徐々に採り入れられ、学院内の校則規制などは少しずつ、しかし確実に改変されていった。


 そのルーナの背後には、ゼノア・バロムの姿があった。


 わずか2ヶ月半で校則規制を改めてみせたルーナとゼノアだったが、二人はさらなる行動に出た。


 王国騎士に属するエリシア・クローデルや、名門貴族の嫡子であるセルエ・グラディエートにも協力を仰ぎ、夏季休暇の間にアバロニア王国の後宮へ滞在し、ニ週間近くに渡って王国領域全体の法改正へと挑んだ。


 たかが一学生が国の法を動かせるはずがない。

 しかし、ただ闇雲に法改正を訴えるのではなく、リスクマネジメントや国の利益なども考慮した、数値的根拠なども提示してみせる。


 それでも「小娘一人ごときが」と、階級立場や面子に拘る貴族達からの無思慮な反目は、ゼノアが"余興(見せしめ)" を行うことで沈黙させた。


 多少強引な手段に訴えたとはいえ、ルーナが提唱したアバロニア王国の法改正は採用されることとなり、これもすぐに実行されることは無かったが、段階的かつ慎重に行うと確約された。


 ルーナの望んだ変革は、彼女自身のカリスマと真摯な姿勢、そして、ゼノア・バロムと言う他者を圧倒する怪物的な力を駆使してみせたことで成し遂げられたのだ。




 アバロニア王国の滞在を終えて、帰りの馬車の中にルーナとゼノアはいた。


「まだまだ問題は山積みでしょうけど、やっと成し遂げられた」


 ルーナは、満ち足りた顔でそう頷いた。


「これも全て、ゼノアくんが私を支え続けてくれたおかげ。私一人だけじゃ、ここまで上手くはいかなかった。本当にありがとう」


「礼を言うのは俺の方もだ。俺がこの国の改革……いいや、粛清を考えた時は、もっと武力的に行うつもりだった。それをルーナが尽力してくれたことで、最上の結果が齎されたんだ」


「……ゼノアくんの言う、武力的な改革って言うのがどういうものかは分からないけど。とにかく、私の当面の目標は達成できた」


「それで、ルーナはこれからどうするんだ?」


「そうね、しばらくは生徒会の業務が忙しくなるだろうし、そっちの方を優先ね」


「そうか」


 今後の予定を再確認。

 しばらくは様子見だ。


 馬車の行者から、聖アイリス魔法学院の校舎が見えてきたことを告げられ、二人は下車の準備をする。


 馬車を降りて、校舎の前に立つ、ゼノアとルーナ。


「ゼノアくん」


「ん?」


「これからも、よろしくね」


「あぁ、こちらこそ」


 二人は校門を潜った。


 今よりも良い未来を創るため、前を向いて歩くために――。




 END






 ………………






 …………






 ……






「よぉ、500年ぶりだな」


 陽の光も差さない深淵の底。


「まさかあの状況からお前が生きてるとは思わなかったよ。まぁ、かくいう俺もおかしなタイムリープに巻き込まれて、こんな状態だがな」


 久しく会う旧友のように、気軽そうに声をかけた。


「世界は少しずつ変わってきている……ようには見えるがな、実のところは何も変わっていない。アストレアの末裔が行ってきた、武力に頼らない対話による解決は、全くの無駄だったよ」


 その声に、闇を纏うようなその姿は蠢いた。


「500年前のあの戦いも、全くの無駄だった。俺達が何年もかけて互いを滅ぼし合ったのも、全部な」


 嘆息をつくような声。


「人間はあまりにも愚かだ。焼かれ朽ち果てた者らの嘆き忘れ、残された者らがのうのうと惰眠を貪る。……やはり、人類は一度滅んだ方がいいのかもしれないな」


 一歩前に踏み出す。


「人類最強の俺と、非人類最強のお前が手を組めば、もう誰も抗する者はいなくなる。そして俺とお前が世界最後の存在になったら、どっちが最強なのかをもう一度殺し合って決めよう」


 右手を差し出した。


「『俺と時代を変えようぜ、()()()()()()()()()()()」』


 差し出された右手に、蠢きは――






 冷えて固まって地盤になった溶岩が、地の底から突き破られた。

 永年に渡って自己再生を繰り返して回復した黒翼を羽ばたかせ、天高く飛翔すると、世界に向けて咆哮する。


 自分こそが、"絶対強者"であると。


 されど絶対強者は二人。


 エンデアヴェルトの背中に――ゼノア・バロムは立つ。






「さぁ、楽しい楽しい……戦争の始まり(人類皆殺し)だァ!!」






 To be continue?

 王立魔法学院の絶対強者、これにて一応の完結です。


 本来なら3部構成に分けて、もっと壮大かつ残酷、凄惨なストーリーになる予定でしたが、故あって無理矢理に終わらせました。


 何を悪用されるか分からない現状、この小説家になろうで書けるジャンルは限られてしまうわけです。


 次回作はどうなるかは未定ですが、大したものは書けないでしょうな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 完結お疲れさまでした("⌒∇⌒") いろいろとご事情はあると思いますが、また何か書いてくださいね♪ 楽しみにしてますから(^ω^) どうもありがとうございました!o(^o^)o
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