8話
はぁ、やっとある程度片づいたな
細かいのはまた明日にしよう
それにしてもカンナがまだ帰ってこない
今は18時
そろそろお腹も空いたし夕飯にしたいんだけど
カンナを待つべきか?
いやでも戻る時間とかは言ってなかったから
何時に帰ってくるのかわからないし
てゆうか、夕飯ってカンナは人間の飯は食べるのか?
まさかっ‼︎部屋を出る時言ってた探索って
人間襲って血を吸ってるんじゃ…
嫌な事を考えがよぎる
「どうした?」
「うわぁ‼︎」
カンナの前で驚いて飛び上がるのは2度目だな
「急に現れて顔を覗きこむのやめてくれよ‼︎」
「すまんすまん。帰ってきたらお前が青ざめた顔をしていたものでな。何かあったか?」
「あ、いやぁ別に…」
人間を襲ってたんじゃないかなんて考えてたとは死んでも聞けない
「何もないなら別によいが。それにしても腹が減ったな」
「ッ‼︎‼︎」
まさか行動を共にすると言いながら僕を襲う気だったとか⁉︎
僕を襲う為に家族のいないここまで着いてきたとか⁉︎
そうだ、その可能性は充分ある
なんで僕は今まで気が付かなかったんだ
こいつは吸血鬼、100年以上前から人を血を吸って生きてきた生き物だ
すっかり油断していた
「おい大丈夫か?具合が悪いんじゃないのか?」
「僕に近寄るな化け物が‼︎」
いつものように顔を覗きこんできたカンナを思いっきり突き飛ばした
カンナはその反動で壁に背中をぶつけたが、きょとんとしている
「本当の事を言えよ。僕の血を吸う為にここまで着いてきたのか?」
「?何を言っておる。どうした急に?」
「お前達吸血鬼には僕は食料に見えてるんだろ?」
少しの間沈黙が流れる
「ぷっ、きゃはははははは」
独特な甲高い笑い声
「急にどうしたのかと思えば。今まで脅して悪かった。大丈夫だ正直お前の血は吸う気はないよ」
「でもお前は吸血鬼だろ‼︎人の血を吸う生き物だ‼︎」
「落ち着け。確かに私は吸血鬼で人の血を吸う生き物だ。お前が吸血鬼をどんな風に想像しているか分からんが、現代の吸血鬼は必ずしも人の血を吸わんと生きれん訳ではない」
「はぁ?」
「昔の吸血鬼ならまだしも、現代の吸血鬼は人の血を吸わんでも最低限の生命維持はできる。普通に人間の食料で充分だ」
「お前が人を襲わない証拠は無い‼︎」
「まぁ確かにそうだな。実際人間の血が大好物なのは事実だしの。でもそれはこれから私と共に行動すれば分かる事ではないか?」
「どうゆう事だよ」
「私達はお互いの事を知らなすぎる。だからお前も怯えているのだろう?人間は知らないもの、分からないものを怖がるからの」
「怯えてなんかないし」
図星をつかれ、カンナの言葉で毒気を抜かれてしまった
「まぁとりあえず先に飯だ。私の事情はその後ちゃんと話すから聞け」
「そうだな。わかった」
なんだか丸め込まれた感はあるが、カンナは僕を襲う気はないらしい
もちろん自炊する気になれず、悶々としながらカンナと2人でカップラーメンを食べた