11話
「早くしろよー遅れるぞー」
「すまんすまん、こんなに着込むのは久しぶりで手こずったわ」
「制服を着るのに手こずるって、、、」
言われてみればカンナはいつも薄い黒のキャミソールのワンピースだった
入学シーズンの今で考えたらかなり薄着だ
吸血鬼は寒さとか暑さとか感じないのかな?
でも今はそれどころじゃない
高校の入学式早々遅刻するわけにいかない!!
「早く行くぞ!遅刻してしまうよ」
「わかっておるわせっかちな奴だ」
なんとか無事家を出た
「ふぅ、緊張するのう。なぁ弥生?」
「久しぶりに僕の事名前で呼んだな」
「学校でお前なんて呼んでおったら周りにどんな反応されるか分からんからな。これからは出来るだけ名前で呼ぶぞ」
「ぜひそうしてくれ」
それより口調の方を気にした方が良いと思うんだけど
カンナの口調はとても女子高生には感じない
「着いたよ」
「ん?ここがこれから私らが通う学校か。なかなかだな」
「まぁ名門校だしな、さぁ行くぞ」
僕は早足でツカツカと前へ進む
なぜなら
「なぜそんなに急ぐ?遅刻はせずに済んだだろうが」
「いや、そうじゃなくて周りの視線が」
「視線?」
そう、僕達は校門をくぐる前から周りから注目を浴びている
正確には僕の隣にいるカンナ
長い銀髪に赤い瞳はどう見ても日本人離れしていて珍しい
カンナを一瞬でも見た人はもう目を離せないでいる
「なんと!!弥生に吸血鬼の血が混じっているのを気付かれておるのか⁉︎まさかこの人混みの中に妖怪祓いの奴が」
「馬鹿かそんなわけないだろ」
軽くポカリッとカンナの頭を叩いた
あんな自分自身に自信満々なカンナだけど
自分の容姿にはあまりに自覚がなさすぎる
こんなに
こんなにも
・・・。
はぁ、いろんな意味でこの先が思いやられる
まぁとりあえず
大勢が群がっているクラス分けの張り出し用紙を確認する
「カンナと一緒のクラスだ」
「当たり前だ‼︎私がそうなるようにしたんだからな」
「どうやって⁉︎」
「それは、ひ・み・つ♡」
人差し指を薄いピンクの唇に当ててウインクする
「本当に見た目"だけ"は良いよな」
さっきの表情とは変わってフンといつものドヤ顔にすぐ戻る
「さっさと行くよ」
「待って♡弥生くん♪」
「そうゆうのやめろ‼︎なんだそのキャラ⁉︎」
「ん?学園生活において明るく笑顔でいる事は大事だと聞いたぞ?」
ツッコんでも仕方ないさっさと行こう
カンナは吸血鬼、人間の勝手がまだわからないようだし
でも僕としてはあまり悪目立ちしたくないからカンナには早く馴染んでもらいたい
不安なまま教室の扉を開く
おぉー
と教室の中にいたおそらく全員が声を上げた