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先ほど作ったカバンを片手に上流に向かって進みます。
片手が空くだけでもバランスの取りやすさが全然違いますね。
しかし、手がかぶれると嫌なのでできるだけ分からない木や植物に触れないように進みます。
どうにも実に覚えのない知識に偏りが有るようで見ても分からない木や植物も結構存在します。
それにしても湧き水が有れば嬉しいのですが。
他に見つからなかった場合は川の水を飲むしかないですね。
いやー森の中を歩くのは結構疲れますね。
パッと見平らに見えても細かい凹凸が有って時々転びそうになります。
しばらく歩いても景色は変わらず木ばかりで民家等人が暮らしている様子は見受けられません。
もしかしたら、人に会えるかもしれないと期待していたのですが望み薄そうです。
おっあれは。
石の間から水が流れ出ています。
見つかって良かったです。
湧き水も全てが飲めるという訳ではありませんが飲むしかありません。
今の状態では多少のリスクはやむを得ません。
湧き水を救って口に運びます。
ここまでの移動でのどが渇いていたのでとても美味しく感じます!
目を覚ましてから時間がたったようで頭頂に有った太陽が大分傾いています。
今夜は夜営をする必要がありそうですね。
水は確保し、食べ物もヤエドウシの実があるのでひとまず今夜は大丈夫でしょう。
後は火を確保しておきたいですね。
暗闇の中山で一晩過ごすのは危険です。
それに幸いまだ野生の動物には遭遇していませんが熊や野犬がいないとも限りません。
火があれば少しでも危険を減らせるのではないでしょうか。
そうと決まれば日が暮れる前に火を確保したいです。
まずは準備ですね。
拾った本に火起こしの道具が乗っていたはずです。
本を開き、目当ての物を探します。
有りました。
弓ぎり式火起こし器というものらしいです。
必要なのは弓にするための紐としなる枝。
火をつける土台と着火材、回すための木、回す木を上から固定するバンドピースというものです。
アマヅマは先ほどのカバンで無くなったので新しく探す必要が有ります。
それに今回はできるだけ細めの蔦がいい気がします。
早いところ素材を集めましょう。
水源から離れすぎないように辺りを探します。
枝はとりあえず手近の物を拾って吟味していきます。
枝は辺りに大分落ちているので、回すための枝は見つかりました。
強度が必要なので太めの物を選びます。
しかし弓のようにしなりの良いものは想像以上に少ないです。
枝を拾い試しに曲げると簡単におれてしまいます。
まぁこれも火を起こした後の燃料になると思えば無駄ではないので折れた枝も回収します。
湧き水の近くに濡れない程度離し、まとめて置いておきます。
枝を探しながら蔦も同時に探します。
あれにしましょうか。
ルベという蔦で細く、強度も中々に有ります。
何回か行き来するうちに良さげな枝を見つけました。
長さも40cmほどで持ちやすいです。
火をつける為の板も近くに落ちていたものを使います。
手で叩くとカツンと渇いた音がします。
これなら問題なく火が着きそうですね。
素材は揃いました。
手早く作っていきましょう。
尖っている石を拾い上げ枝の両側に蔓が滑って外れないように溝を掘っていきます。
溝が出来たら、枝の片側に蔦を括りつけます。
そして枝をしならせ、片側にくくりつければ弓の完成です。
弓の弦に枝を取り付けます。
ハンドピースはカバンを作ったときに残ったギトウシの葉を使いましょう。
板にも回す枝が滑らないように石で穴を空けます。
あっ力を入れ過ぎて板に少しヒビが入ってしまいました。
まぁ問題はないでしょう。
板の穴に渇いた落ち葉を砕いて詰めます。
枝を着けた弓をセットし、枝を上からギトウシの葉を何枚か重ねて抑えます。
後は実戦あるのみです。
弓の押し引きを繰り返します。
最初は道具の出来が良くないのもあって板から枝がずれたり、弓が引っ掛かり上手く回りませんでしたが、繰り返すうちに段々と慣れてきます。
大分スムーズに出来るようになってきました。
ハンドピース代わりの葉を4度取り替え、ついに小さな種火が出来ました。
じんわりと広がる赤い光にすぐさま手元に置い
落ちがを砕いて振りかけます。
火が消えてしまわないよう、優しく息を吹き掛けます。
少しずつ火が大きくなっていきます。
ある程度の大きさになると、今度は集めておいた枝を折って入れていきます。
なんとか火が安定してきました。
辺りを見渡すとすっかり日も暮れ空は橙色に染まっています。
なんとか夜になる前に火を確保することが出来ました。
灯りを確保できました。
夜どれほど冷え込むかは分かりませんが、暖も取ることが出来ます。
後は火が消えないように今日一晩過ごすだけです。
それなりに枝は集めておきました。
幸い周りに枝は大分あるので燃料にはこまらなさそうです。
まぁ一徹、二徹は会社では普通だったので余裕ですね!




