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1 一年前の自分へ

 着たいものを作る。

 と言うよりは、無難に売れそうなものを作る。

 のが仕事だったし、心踊るような情熱なんて遠い昔に置いてきているものだと思っていた。

 だから、自分たちが作りたいものを熱心に語る彼らとわたしの間に温度差があることは認識していたわけだ。あくまで当初は。


 かつてはわたしも希望で満ち溢れていた時期があった。しかし日々に忙殺され、ただのぼろ着れになるまですり減った心は荒れ果てどこにでも転がっている歯車に成り変わっていた。

 ただ、リクエストに応じて機械的に仕事をこなす日々。

 はっきり言って、つまらない。

 わたしはもっと自由に生きていたかった。心の赴くまま、ときめく方へ向かって走っていきたかったはずなのに。


 先を見通せぬ靄のなかで足掻きながら、それすらも止めてしまおうかと諦めかけていた最中だったのだ。

 そんな日々の中に彼らは唐突に現れた。

 今思い返せば、前触れが全く無かったとは言えない。

 しかし、それはほんの些細な欠片でそれらがどうしてこんなところにわたしを連れてきてくれるなどと思えただろうか。

 きっと不貞腐れていたわたしに神様が与えてくれたチャンスだったのだ。

 しかもそれは前髪を掴ませてくれるどころか諦めきった手を引っ張ってくれる勢いの、気前の良い女神様が与えてくれる類いのものだった。


 だから、もうちょっとそこで辛抱しなよ、一年前のわたし。たとえ足をもがれたとしても同じ場所を走りたいと思える仲間に出会えるからな。

この一年、すごく楽しい年だった。

そのことを思い出しては笑えるように残しておきます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] スマホひとつで本が読める 読みたい時にすぐ読める [気になる点] 人にあげる 形のまま残しておくことができない [一言] ここままつづけていきましょう!
2022/02/18 08:17 小林蘭太郎
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