006
光が収まり目の前に出てきたのは…
「小太刀?」
極々普通の黒い鞘に収まる、刃渡り60㎝程度の地味な刀だった。
刀なのは男心をくすぐるのでうれしいけど、この世界で通じるのかな。剣道すら経験無いしね…。不安を感じながらも周りのヤンキー達はどんな感じか見回して見るとそこには
「…!?」
ファンタジーに似つかわしくない集団がいた。
木刀、角材、釘バットに鉄パイプ、メリケンサックやバールのようなものもある。ヨーヨーを持つ女子もいるね。
あまりに似合い過ぎていて違和感がない。まるで他校へと喧嘩にでも出かけるが如くだ。刃物を持っていてもまるで勝てそうにない集団だった。というか近づきたくない。本人達も手に馴染むぜとか言っていて笑いあっている。それで本当にいいのかと問い詰めたいところだが本人達が納得しているならいいか。アルタさんも不壊とか言ってたし折れない角材なら戦えるのかもしれない…そうか?
真剣持ってる自分の方が異物感あるけど、元からそうなので気にしないでおこう。
「…うむ。皆問題なく独自武器が出せたようじゃな。武器として怪しい物も見られるがそれらは命を預ける相棒であり、勇者と共に成長し、力を増幅してくれるのじゃ。いつでも呼び出せるので次は収納と念じてみるのじゃ。」
素直に従おう。
(収納)
今度は念じると同時にスッと消えた。便利だなあ。周りでは出し入れを繰り返してるやつもいるけどほっとこう。
「問題ないようじゃな。では次に独自武器に付随する特殊能力…スキルを確認しよう。スキルというのはこちらの世界では皆が持つものじゃし、先天的にも後天的にも存在するのじゃが、異世界の勇者は独自武器から借りるような形になるのじゃ。そしてそれは我々のスキルより優れているために、力を貸して欲しいという話に繋るのじゃ。それでは、誰か武器を持った状態でこの石に触って貰おうか。」
「じゃあ俺が一番だ!」
やる気になったヤンキー達のなかから一番に出てきたのは、釘バットを持ついかつい系ヤンキーだった