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私は誰か?

作者: 鳴海昌平

地球から脱出したいと思って悩んでいたら、なにもロケットにのらなくても、私のあたまのなかに星をつくれば、それですむではないかということに気づき、たいそう楽になった。


私の星には特徴がある。その星に生きる私には、体がないのである。体がないということは、快楽がないわけであり、それなら何が楽しいんだい?そんな星つくって?と思われるだろうが、それでいいのである。もはや快楽なら限界まで味わい尽くした。あっちこっち転んで苦痛も味わい尽くした。しがらみだらけの関係もうんざりだ。私は地球に飽きたのだ!


体がないから五感がない。目は見えず耳は聞こえず、味も臭いもわからず、触れることができない。それが私である。


私がつくった星に、私以外に何があるかといえば何もない。地球にあるものをつくってたら、地球を脱出した意味がないから、何にもつくらなかった。豆腐が好きだから、地面を豆腐にしたくらいかな。あと風。


私は風にのるのが大好きだ。無限の空を縦横無尽に飛び回る。何もないからどのくらいのはやさで飛んでるかわからないし、どこにいるのかも把握しづらいから、星に爪楊枝突きたて、それを目印に風と遊ぶ。


心ゆくまで風と遊んだら、ひとまず地球に帰る。すると、急に体が重くなるのを感じる。これが地球か。私は10秒もしないうちに、すぐに豆腐の星に引き返したくなる。


地球はあまりにも騒々しい。五感に目が回る。あたまが変になりそうだ。私は地球に帰る意味がわからなくなり、星に永住することを決意した。


私は今この手記を、豆腐の星からテレパシーで私のスマホに書いている。地球を脱出した私は、私のあたまの中の宇宙に生きている。


私は誰か?


どっちが本当の私なのか、ときおりわからなくなる。


空を見上げれば満点の星空があるだろう。しかし、何も見えないからわからない…















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