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伝説の魔物使いが死んだ後の世界がマジでヤバい  作者: しら玉草
第1章:ハイドロゲンスライム
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VSスライム3

やっと始まりました、スライム再戦。

今回は戦いませんけどね。若干ラブコメです。


 ……… ……… ………



 俺は今、小高い丘の上に居る、たくさんの丸太と共に。


 いまだに防具はスウェット、武器は丸太。たった1人で草原を見つめる。



 そんな装備で大丈夫かって?


 大丈夫だ、これしか準備出来る物が無い。


 無限の丸太の丘で1人佇む、あ、いや、ごめんなさい、無限は言い過ぎた、19本です。



 少しだけ話を戻そうか。



 ……… ……… …… …



「ちょっと!マヒル!流石にこの荷馬車に丸太20本は無理だって!」


 使い古されてボロボロな荷台のみの馬車、肝心の馬は年老いて体力が無い。

 歩く時間よりも休む時間の方が長くイライラする。


「しょうがにゃあよ、アサヒのお金じゃこれが限界にゃし」


 マヒルには丸太を減らすという選択肢は無いようだ、相手は小魔王だし、備えは可能な限り多いに越したことは無い、それは分かるが馬が限界だ。


 ではどうするか?二人で荷馬車を後ろから押すしか無い。

 マヒルが荷馬車を押すとようやく馬も歩きだしてくれた。というか馬よりもマヒルの方が力が強くないか?俺必要なくね?


 そう思い少しサボるとマヒルの視線が突き刺さってくる、ヤバい、バレてる。



 そんなこんなで丸太を丘の上まで移動させた、スライムの出る草原を一望出来るベストポジション、ただ気になるのは距離だ。

 一番遠い場所だと1キロメートルくらいはある気がする。これもうギリギリでスナイパーライフルが必要な距離だぞ。



「ちょっと1本だけ投げてみて良い?距離と精度は頭に入れておきたい」


「この作戦の肝にゃしね」


 作戦、と呼べる程の物では無い。

 マヒルが小魔王スライムを挑発して俺の方に誘き寄せる、丸太の射程圏内に入ったらマヒルが気を惹きつつ俺が丸太を投擲する。ただそれだけである。


「本当にこの作戦でいけるのかな、マヒルの負担が大きすぎるし」


「獣人ライオルトを侮辱しとぉ?勝機があれば果敢に挑む、それがライオルトにゃ」


「勝機…ねぇ、何パーセントなんだかね」


「私はアサヒを信じとぉよ。アサヒも私を信じて」


「それも直感?…はぁ、いえす、まむ」


「だ」



 丸太を1つ肩の上まで持ち上げる。…あれ?ん!?


「なんか普通の丸太よりも重く感じるな」


「生木にゃしね。水すっとぉよ」


「あー、それでか。まぁ、なんとか構える事は出来そうだ」



 構える事さえ出来れば後は【ジャベリンマスタリー】のスキルが発動する。

 棒状であれば何でも投擲可能、最初はまさか丸太を投げる事になるとは思いもしなかったが、まぁ、それは今更だろう。


 右肩に丸太を担ぎ、巻き込む様に力を入れる。

 左足を力強く踏み込み狙う方向を定める。

 体全体の力を使い丸太に螺旋回転を加えて…。


「いっけぇぇぇえ!」


 丸太という巨大なライフル弾を自分の手で射出する。

 風を切る音が重々しい、切るというよりは空気を押し潰して飛んでいく。


 直線的に飛来する丸太は着弾地点の岩を木槌となって粉砕した。

 岩の大きさは人間の半分程の大きさだった、距離は…100メートルくらいか。

 陸上部だからな、100メートルくらいの距離は感覚で分かる。


「狙って当てれるのはあれくらいかな、岩の真ん中狙ったのに少し右にずれたよ。精度がいらないならもっといけそうだけど、思ったよりも飛距離は無いな」


「な、何言っとぉ…」


「ん?」


 マヒルが砕けた岩を見て唖然としている。


「丸太をあんな距離まで…」


「ん、でもあれくらいだったらあのスライム10秒くらいでここまで来れちゃわないか?」


「私が居るに、大丈夫にゃ。アサヒに気を取られとぉなら私の斧を喰らわせてやるに」


「頼もしいなぁ俺のお姫様は」


「もー、またそういう冗談…、冗談…にゃよね?いつもの」


「俺は冗談は言わない質なんだ」


「んー、そういうんが冗談ぽくてアサヒはよぉ分かんにゃあわ」


「本気だけど、ライオルト族は自分より強い男じゃないと…、みたいなのあるん?戦闘種族のお決まりみたいなやつ」


 もしそうだとしたらマヒルに勝つ自信は全くもって微塵も無い。


「昔はあったに。今ではやっぱ見た目にゃね」


「見た目!?…はぁ、やっぱイケメンがモテるのかぁ。やってらんねぇわぁ、ちなみにライオルト族のイケメンってどんなん?」


たてがみが立派」


「種族の壁が分厚いわ!!」


 鬣なんて何年待っても生えてこねぇよ!っていうかライオルト族の男は鬣あるのかよ!


「……その、アサヒは本当に私の事女として見とぉと?」


 はて?マヒルは何を異な事をおっしゃっておられるのだろうか。こんな可愛い子は元の世界では見たこと無いのだが、っていうか相手にされたことも無いからクラスの女子なんてよく見てもいねぇけど。


「も…」


 もちろん、そう言おうとしたがマヒルに口を押さえられた。


「やっぱ今の無しにゃ。邪念入りそうやに、この戦いで生きて帰れてからにゃ、ね?」


「それ死亡フラグ!」


「にゃはは、じゃ、作戦開始!私はスライム誘き寄せるにゃ、アサヒは待機ね」



 そう言い残すとマヒルは草原を駆けていってしまった。


 …鬣、どうやったら生えてくんのかな。



 ……… ……… ………



 そして今に至る。

 俺は丘の上から草原を見張り、マヒルは草原を駆け回りスライムを斬殺しまくる。

 普通のスライムを倒しまくれば小魔王スライムも必ずやってくるだろう。


 豪快に斧を振り回すマヒルはなんかもう水車を思わせる。巻き込まれたスライムがただの水飛沫に見えてくる。


「生き生きしてらっしゃるなぁ」



マヒルはアサヒに女として見られてないと思っていたのです。


さぁ、次はやっとスライム戦の第二幕でございます。

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