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伝説の魔物使いが死んだ後の世界がマジでヤバい  作者: しら玉草
第1章:ハイドロゲンスライム
7/58

VSスライム2

今回は会話回となります。

スライムについてと魔力について。


「俺のイメージではスライムって水属性なんだけど?」


「私もそお思ぉにゃ」




 俺とマヒルは冒険者ギルドに置いてある机で向かい合って座っている、有り体に言ってしまえば対スライムの作戦会議というわけだ。


 そして俺とマヒルはきっと同じ疑問を抱いている。



「なんであのスライム火ぃ吹いてんだ?」


「…わかんにゃあ」



 当然の疑問だ。あの水風船みたいなスライムが火を吹くとか、かの歴史的RPGであるドラ○ンク○ストでしか見たことが無い。

 まずは相手の事を知るべきだと思う、それが俺の提案だった。そして今に至る。



「そもそもスライムってどんな進化するんだ?」


「大きく分けて3つ。一般的なんは巨大化。単純に体積が増えるにゃ、意外と厄介」


「ふむふむ、通常は大きくなるのか。そこはセオリーだね」


 なるほど、ゲームでもよくあるやつだ。確かに攻撃が通りにくかったり飲み込まれたり、いやらしい戦い方をしてくる事が多い。



「あと特殊なんが毒化と結晶化。一番レアなんは結晶化かな、生きた宝石とも言われとぉにゃ、硬ぁし早ぁから捕まえるんは大変にゃけどね」


「なるなる、で、その中で火を吹くのは?」


「いにゃあよ」


「じゃあ見た目が普通のスライムと変わらないのは?」


「いにゃあ」


「……じゃああいつ何なんだよ」


「わかんにゃあ」


「魔物使いの勇者だけが育てられる特殊進化とか?」


「もしそうなら何の情報もにゃあね」




「あ、魔法。魔法は?魔物使いの勇者がスライムに魔法覚えさせたとかさ」


「スライムはあんな大魔法使えにゃあよ。火の魔法を覚えたとしても焚き火すら出来にゃあと思ぉ。そもそも魔法って種族の素質によるところが大きいにゃ」



「え?じゃあ前に鑑定してもらった魔力ランクって何?意味あんの?」


「しらにゃあの?」


「俺の日常に魔法なんて無かったからなぁ」


 そんなのゲームやアニメといった創作物の中以外では見たことも無い。




「魔法っていうんは魔力を体外に放出してなんやかんややって自然の精霊となんやかんやで不思議なことする力なんよ」


「わかんねっす」


 説明がアバウト過ぎて分からない、分かった事は1つだけ。マヒルは勉強とか苦手なタイプに違いない。…人の事は言えないけども。



「私もわかんにゃあけど、素質のにゃあ人が魔法覚えたって初歩の初歩のそのまた前準備程度にしか魔法使えにゃあのよ」


「ほーん、じゃあ素質無しが火の魔法覚えたとしたらどれくらいの火が出せるの?」


「一般的な魔力ランクCでも火打ち石の方が便利なレベルじゃにゃあかな」


「しょっぼ!え!?じゃあ素質の無い奴は魔力って何に使ってるのさ」



「魔術にゃ」


「ん?魔法とは違うん?」


「魔術は自分の魔力を媒体に流すだけにゃ、魔法のなんやかんやは媒体が勝手にやるに。ちなみに私の家系は代々みんな大地の魔力を持っとおよ」


「ほー?でもマヒルの魔力ランクってDだよね?何が出来るの?」


「大地の力を持っとぉ媒体を持つ事が出来るにゃ」


「持つ?だけ?」



 マヒルは説明が面倒くさくなったのか自分の戦斧を床に置いて指差した。


「実はこの斧もそうにゃ。アサヒ、持ってみやーよ」


「?…いや、確かに重そうだけども」


 俺はマヒルの斧を片手で掴んで上に…、ん?上に…、あれえぇぇ!?

 いやいや、流石にそんなバカな。両手で掴めば…、ん?んんんん!?


 腰を降ろし体全体で持ち上げてようやく浮いたあたりで俺は持つのを諦めた。


「何これ!?何で作ったらこんな重さになんだよ」


「これが大地の力を持っとぉ媒体の特性、質量が異常に増加するにゃ」



 マヒルは斧を片手で持ち上げると背中に背負う、なるほど、持てるだけでも凄いわ。


「魔力ランクDでそんなの持てるならAとかBはとんでもないな」


「…いや、大地の魔力持っとぉ種族って肉体派で…、その」


「ほほう、分かったぞ。みんな脳筋だから魔力ランク高い奴居ないんだな」


「はっきり言うにゃ!…まぁ、でもその通りにゃ。実はこの斧持つんだって本来は魔力ランクBは必要で、獣人の筋力と身体強化のスキルでサバ読んどーにゃ」


「いやいや、それでも十分凄いよ!俺なんて魔力ランクFって言われたからなぁ、脳筋種族以下ってどういう事よ。ってか自分の魔力の属性も知らねぇし」


「え?魔力に属性付くんは魔力ランクEからだからアサヒは無属性にゃあよ」


「……無属性の魔力って何が出来るの?」


「生命活動維持のために日々消費することが出来るにゃ」


「……」


「…えっとにゃ、…つまり」


「いや皆まで言うな、分かった、ただのカロリーなんだな」


「あ…うん」



 つまり魔力っていうのは生き物が持つエネルギーなんだろう。魔力ランクFっていうのは実質的には魔力ゼロってことだ。

 情けない、ほんと情けない。俺が思ってた異世界転移と全然違う。


「……はぁー、マヒルに比べて俺しょっぼいなぁ」


「何言うとぉにゃ?私アサヒの強さに感動したんにゃよ?」


「うぇ!?」


「丸太の投擲なんて私でもできにゃあよ、本来なら攻城兵器クラスのバリスタが必要になるに、言い換えればアサヒは機動力のある高精度な攻城兵器と言っても過言じゃにゃあよ」



 え?ここに来て意外な高評価。ずっと自分の弱さばかり目に付いていたのだけど?

 つまりあれか?某狩りゲーで好きな位置にバリスタ設置出来るみたいな?


「なんと…、俺って…凄かったのか?」


 良いのか?これ調子に乗っても良い感じのあれか?


「あのスライムだって丸太の直撃喰らうんが嫌で爆破したみてゃーに見えたにゃ」



 それに関しては実は俺も違和感を感じていた事がある。


「…それなんだけど、二人で逃げてた時さ、あいつ矢筒に体当たりしただけにしてはかなり大袈裟に怯んでたんだよ。もしかしてあいつ耐久力低いんじゃないか?」


「え?あんなに強いのに?」



 そうだ、そうだよ。ピンときた、ゲーム脳が冴えてきた。

 あのスライムの正体が分かったかもしれない。



「分かったぞ!あいつ、ただのスライムなんだ。だからどの進化系統にも属さないし見た目も普通のスライムと全く同じなんだ」


「ちょっと何言うとぉか分かんにゃあ、あんな強いのがただのスライムなわけにゃあよ」


「魔物使いの勇者はスライムを結晶化させるために育ててたに違いない。だから巨大化の進化はキャンセルしたんだ。それでも結晶化の条件が揃わずあの姿のままだったと仮定すれば」


 俺が魔物使いなら絶対そうする、一番レアな進化させるまで粘る。



「んんー?それでも火を吹く理由にはならにゃーよーな」


「きっと本来の巨大化進化の条件は揃ってるんだよ。あのスライムは巨大化で増えるはずの体積を水素として吐き出してさ、火打ち石程度の火魔法で着火してるんじゃないか?」


「水素?ってなんにゃ?」


「水を構成してる物だよ、火気で爆発的に燃える」


「お?おお?よぉ分かんにゃあけどアサヒが賢く見えるにゃ」


 あ、はい。バカだと思われていたようです。いや、そりゃ学校の成績は悪かったけど、それは勉強よりもゲームを優先してたからで…、あー、十分バカですな。



「つまり、俺の推測が正しければあのスライムは攻撃力は高いけど耐久力は低い、それに体積分の火力を使いきれば回復まで時間がかかるはず」


「おお!勝機が見えてきたにゃ!」




「でもとりあえず俺の武器なんとかせんとな。矢しか買えねぇけども」


 攻撃に参加出来ないんじゃ俺が居る意味無くなっちゃうしな。スライムが出る所だってただの草原だしパルクールも使えない。足手まといもいいとこだ。



「何言っとおにゃ?アサヒの武器ならもっと良いのあるに」


「ほぇ?」


「丸太」


「はぁ!?」




丸太投げの勇者、アサヒ(笑)

次は再戦準備してからの…って感じになると思います。


スーファミ世代としてはやはり最強のスライム=灼熱なんですよねぇ(笑)

火を吹く原理を自分なりに考えたらこんな感じになりました。

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