ゲイ・ボルグ
二つ目投稿です。
現在のパーティーのステータスチェックでございます。
「え!?魔力ランクA!?獣人なのに!?」
テオテスカ冒険者ギルドのお姉さんが魔力測定の為の水晶を穴が空く程見つめていた。
俺達は防具屋でマヒルの装備を新調した後、冒険者ギルドに来ていた。
新調とは言ってもマヒルの革鎧には大地の加護があったらしく、装備はそのままに大地の魔力をエンチャントしてもらっただけだ。
流石は戦闘種族のライオルト、良い装備を持っている。
そして今はどれだけ強くなったのか、久しぶりにギルドで魔力測定をしてもらっているという訳だ。まずはマヒルの数値を見てもらっていた。
「Aは人間の限界値ですよ…獣人は魔力が低いはずなのに、水晶が壊れたのかもしれません、ちょっと違う水晶を持ってきます」
受付のお姉さんは違う水晶を持ってくるがやはり同じ結果だった、水晶は煌々と光輝く。
「そんな…」
『精霊との対話能力を私と同レベルまで引き上げただけじゃがの?』
脳内に直接聞こえてくるガイアの声、人前だしそれには応えないが、ちょっとヤバそうな事態かもしれない。受付嬢がテンパっているのが分かる。
『精霊の王と同レベルまで上がったんだよ?獣人でもそれくらいにはなるよ』
いや、エクリプス、お前が応えるのか、止めてくれ、人の頭の中で会話しないでくれ。
「え、えー。一応他のステータスも確認を…【身体強化Lv7】【斧修練Lv9】【加速Lv7】【強撃Lv8】【直感Lv10】…どういうことですかこれ、ライオルトの熟練冒険者でもこんなの無いですよ…。何と戦ったらこんなにスキルレベル増えるんですか…」
「にゃはは…まぁ、ちょっとね、あ、ヒイリ、次はヒイリ見てもらうと良いに」
頭を抱えてしまった受付のお姉さんから逃げる様にマヒルは後ろに下がっていく。
まぁ、ヒイリは直接戦って無いし、元々魔力ランクの高い種族だし、そんなにおかしな事にはならないだろう。
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「魔力ランク測定不能!?え、Sランク…。エルフの王族か何かですか!?あ、すみません、取り乱しました。スキルは…【命中Lv4】【幸運Lv3】【魅了Lv5】【鑑定Lv4】ですか。商人に向いてそうなスキルですね」
「商人なので」
「え?あぁ、確かエルフは質素だと聞きました…王族でも大変なんですねぇ」
「いや…あの…平民で」
どうやらそこまでおかしくは無いようだ、Sランクというのは測定出来ない領域で、エルフの王族ならあり得るらしい。
それより【魅了】て、なるほどな、あの眠れない夜はこれのせいか。
「さて、次は俺か」
【ジャベリンマスタリー】と【パルクール】がどこまで上がったか見てもらっておこうか。実はかなり気になっていた。
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「魔力ランク…D。あぁ…良かった、規格外なのは二人だけのようですね」
あー、やっぱり罪の魔力は測定出来ないのか。ちょっと残念だな。
『Dあるのは私から漏れ出てる分かの』
じゃあ実質Fから変わってねぇのかよ。外野から聞こえる「凄いパーティーに変なの混ざってるぞ」って感じの笑い声が少し腹立つ。
『気にするで無い、実際にはSランク相当だでの』
「スキルは……え?これ、何ですか…」
「え?ジャベリンマスタリーとパルクールだろ?」
確かに珍しいスキルらしいが、受付嬢があまりにも不可思議な表情をしている。
「いえ、初めて見るスキルです。【ゲイ・ボルグLv10】【タラリアLv10】、こんなの…知らないですよ。ユニークスキルが2つも?」
『スキルの進化、【ゲイ・ボルグ】は月兎の魔法を行使した結果かの。魔物の遺骸で拵えた投擲槍の名前だの。【タラリア】は私の影響か、有翼の靴の名じゃ』
周りがどよめくのが分かる、ユニークスキルは珍しいものらしい、それを2つも持っているとなれば注目も浴びる。
いや、俺自身進化して何が変わってるのか分からないが。
『【ゲイ・ボルグ】はね、遺骸の呪いを恒久的に受け、呪いの力を得る。【ジャベリンマスタリー】との複合スキルだよ。呪いとして受けた心がアサヒの中に力として残ってるのはこれの影響なんだ』
聞いてないのにエクリプスが答えてくれた。なんだ?恒久的にって、ヤバいスキルなんじゃねぇのかこれ。
『ならば私も説明しようかの。【タラリア】は移動速度を上げ、足場の無い場所も足場として踏む事が出来る。【パルクール】と足限定の【加速】を複合させた様なスキルじゃ』
今度はガイアか、人の頭の中で会話されると妙な気分だが、今回は為になったな。
「目立ち過ぎるのも良くない、もう出ようか」
マヒルとヒイリに手で合図を送り外に出ようとした所で受付嬢が声を上げる。
「あ!待ってください!あなたの登録名どこかで見たと思ったらユニコーンを倒したアサヒさんですよね!?小魔王狩りの英雄の!」
「あー、しまったな。あまり目立ちたくなかったのに」
まぁ、それはステータスを見た時点で手遅れだったかもしれないが。
「実は…レッドドラゴンの目撃がありまして…退治依頼が…」
「知ってるよ。俺も見た」
「で、では!」
「ああ、倒しに行く」
「実は国からの依頼でして!報酬は100万カッパー出るそうです!」
手回しが早い、俺が居る事を知って急いで金を都合したのだろう。
王は王でシンヤが落とした影に怯えているようだ。
王が俺に会いたいと言った理由もソレに違いない。言われなくてもやってやるさ。アーミャもヤテンもソレを望んでいるのだから。
アサヒが最強無双モードに入りつつありますが、そんな都合良くいかないのが私の小説だったりします(笑)
軽くネタばらすスタイル(笑)




