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伝説の魔物使いが死んだ後の世界がマジでヤバい  作者: しら玉草
第5章:プロミネンスソウル
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花壇にて眠る者

今回はあの人の再登場です。

この辺りから話が加速しますよー。

筆が加速するかは別の話なので寛容にお願いいたします。


 マヒルの震えが収まる頃にはホムラの姿は見えなくなっていた。

 マヒルは柄にも無い所を見せてしまい少し気恥ずかしそうにしている。

 そんなマヒルを可愛いと思うし守りたい、だけど何故だろう…昔みたいな強い恋慕を感じない自分がいる。


「にゃはは、い、行こっか」


「そうだな」



 歩きだした所でヒイリに声をかけられる。その声色からは不安が感じられた。


「ところで、けっきょくさっきのドラゴンとも戦うんですよね?勝算はあるんですか?」


 最もな意見だ、もちろんホムラとも戦う。戦わなければならない。それがアーミャの指示じゃなくても戦う理由がある。尤もそれはヤテンの意思だが…。

 そして、実のところ勝算はあるのだ。


「ヤテン使えば相性良いけど、それだけじゃ足りないな。まぁ、その為にテオテスカに行くのさ。大丈夫、勝てる」




 ◆  ◆  ◆




 中央都市テオテスカ。


 壁で囲われた巨大都市、王都でもあるここにはこの世界で最も権力をもった王様が居る。

 かつてシンヤを殺す事を決断した王だ。

 まぁ、シンヤはほかっておいたらどこまでも勢力を増やし、この世界を征服出来てしまう可能性があったのだから、人の王もアーミャも無視なんて出来なかっただろう。


 第一目標であった魔王ガイアの討伐は完了したのだから、小魔王が残っててもアーミャ的には一歩前進だと言えるのかもしれない。



「で、テオテスカに来たは良いけど、どうするに?アサヒの知り合いってお城に居るんじゃにゃあの?どうやって入ると?」


「簡単だよ。正面から行く」



 …… …



 宣言通り城門まで歩くと門番に手を振り、なに食わぬ顔で通過しようと試みる。


「あ、おい!止まれ!ここは王宮だぞ!」


 当然止められるし、マヒルもヒイリも呆れ顔だ。しかし俺は強気な姿勢を崩さない。


「俺の事知らねぇの?小魔王殺しのアサヒ。既にユニコーンとレヴァナントも殺してる英雄だ、むしろ現代の勇者と言っても過言じゃない存在だぜ?」


「な!?ディブロスから通達はあったが…本当に本人か?信用出来るわけ無いだろう」


「そう?じゃあ良いぜ。俺の機嫌を損ねるだけだからな?ちなみに、さっき小魔王のレッドドラゴンを見た。ここに攻め込んで来るかもな?」


「そんな!?……ちょ…ちょっと冒険者ギルドに確認をとるから待っててくれ」


「待ってて下さい、だろ?あのドラゴンが火を吹いたらこの城なんて熔けて無くなるぜ?」


「くっ…、待ってて…下さい」


「よし、早くしろ」


 門兵の一人が大慌てで走り去って行く。


 後ろでマヒルとヒイリがドン引いているのが分かったが、ここはシンヤの仇どもの巣窟だ、紳士に振る舞う理由なんて微塵も無い。




 ……… ……… …… …




 数十分後にさっきの門兵が青ざめた顔で走り寄ってきた。


「申し訳ありませんでしたアサヒ様!確認が取れました!」


「おせぇよ。まぁ、分かれば良い。入らせてもらうぞ」


「でしたらまずは王への謁見をお願い出来ますか?王も貴方に会いたいそうです」


「後でな、先に庭が見たい」


「…分かりました。王も貴方の意向に合わせると言っていましたので承諾します」


 かなり下手に出ているな。まぁ、ホムラが近くに居るんだ、兵士がいくら居ても足りないし、俺に頼る他無いのだから当然かもしれない。


「おう、じゃあ好きにさせてもらうな。あと付き添いはいらないぞ?正直ここの兵士もメイドも見たく無いからな」


「は、はぁ……?」


 シンヤに毒を盛ったのは兵士だ、そしてそれを運んで飲ませたのはメイドだった。その二人はとうに死んでいる。しかし割り切れるものでも無い。

 …俺が城を破壊してしまうのも面白いかもしれないな。



「アサヒ?…何か…怒っとお?」


 マヒルに声を掛けられてハッとした、俺はいったい何を考えていたんだろうか。ここに来てからというものイラだって仕方が無かった。

 俺の中にいる小魔王達の心がざわついている気がする。


 小魔王達はシンヤが望まなかったから積極的に人間を襲わないだけだ。

 本当はこの町ごと破壊したいに違いない。何よりも俺がその衝動に駆られている。


「いや、大丈夫。ごめんな、大丈夫だから」


「なら…いいにゃ…」





 俺は花壇へと急いだ。花壇にはヤテンが種を植えたのだ。

 王宮の花壇、さぞや良い土を使っているだろう。


 種を植えた場所を調べるが表面上は何も生えていなかった。

 だが分かる、種を残した本人からの遺言だ、絶対にここに居る。


「ガイア、気分はどうだ?」


 俺がそう訪ねると花壇の土から小さな蔓が何本も生えてきて、それらが球状に絡まり、バスケットボールくらいのサイズの玉が出来上がった。

 その玉がゆっくりと開き、中から小さな女の子が出てきた。

 緑色の長い髪に薄茶色の羽織、あどけないながらも妖艶ようえんな雰囲気を漂わせている。


「最悪じゃな。土の質は良いが浅い。このサイズになるまでに5年もかかってしまったではないか。…しかもお主、性転換したのかの?」


「贅沢言わないでもらえるかな。それに俺はアサヒだ。ヤテンじゃない」


「似たようなものじゃの。まぁ良い、あの天使に悟られないようにしてくれと頼んだのは私じゃからの。期待はしとらんかったが、まさか本当に頼まれてくれるとはのう」


「いつか何かに利用出来ると思ったからな。で、今がその時だ」


「あい分かった」




 手の平サイズの小さい女の子と話をする俺をマヒルとヒイリが不思議そうに見てくる、説明が面倒なやつだなこれは。


「アサヒさん…その子、ドリアードか何かですか?」


 ドリアード、木の精霊の事だな。確かにパッと見はそう見えてもおかしくは無いか。



「いや、こいつはドリアードじゃないよ」


「カカッ、シルフとノームとウンディーネとサラマンダーの欲張りセット最上位版だと思ってくれて構わんの。まぁ、ドリアードと言えなくも無い。世界樹の精霊だと言い換えても問題は無いからのう」


「いやお前が答えるのかよ、しかも何だそのお得感アピール」


「いきなり魔王じゃと答えたら驚くじゃろ?私なりの配慮だったんだがの?」



「「魔王!?」」


 ああ、マヒルとヒイリが上手い具合にハモったな。



なんかもうアサヒがアサヒじゃなくなってきましたねぇ。

マヒルがアサヒを危険だと直感で感じたのはこういう事でした。

もうかなり前のフラグ過ぎて覚えている人いないかもですが(笑)

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