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伝説の魔物使いが死んだ後の世界がマジでヤバい  作者: しら玉草
第4章:モンスターパレード
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伝説の魔物使い7

今回は魔王の正体が明らかになります。

戦闘シーンはカットしております。


 ◆  ◆  ◆


 簡潔に言ってしまうと、城までの道のりも、城内に居た中ボス的存在も、俺達にかかればどうってことは無かった。

 中ボスは巨人の骸骨みたいな奴だったが、うちのパーティーの一人分くらいの強さしか無い、単純に4対1、負ける道理が無い。

 それよりも城が崩れないかどうかの方が心配だった。


 そしてその巨大なスケルトンは魔王の呪縛が強いせいか対話に応じてくれなかった。

 そうなってくると魔王との対話にも不安が過る。



 古びており、とても広い城、城というよりかは神殿を思わせる作りをしていた。

 そしてその最奥、巨大な扉の前で戸惑う俺をみんなが見つめてくる。


「魔王は…この先か?。…よし!行くぞ!」


 意を決して扉を押す、もちろん俺の腕力じゃ開かないサイズの扉だからイシガキが押してくれた。なんとも格好がつかない。



 赤いカーペットが敷かれた玉座の間、しかし玉座には誰も座っていなかった。


「魔王…もしかして留守なのか?」


『魔王?…そうか、おまえは人間か。そう、私が魔王と呼ばれる存在だ』


 俺の呟きに対してどこからともなく声が響いてくる。それはとても澄んだ声だった。


「うあ、ど、どこから…」


『久方ぶりの客人だ…姿を見せねば失礼にあたるかの』



 その時、玉座の少し手前の床から太い蔓が大量に生え、絡まり、大きな球体が出来上がった。人が一人入れそうなサイズの植物の球だ。

 その球体がほどけると、中から緑色の長い髪をした女性が現れた。

 薄茶色の羽織を纏った美しい女性。魔王と呼ぶにはあまりにも穏やかだった。


「あ…あなたが…魔王?」


「ああ、そうだの。名をガイアという」


「え、ああ。こ、これはご丁寧に、俺はシンヤと言います」


 って、何で敬語になってるんだ俺は。


「ふむ、人の子にしては躾がなっておるの」


「……本当に魔王?」


「なんじゃ、そっちで勝手に魔王だなどと名付けておいて…」


「魔王じゃ…ないの?」


「ガイアだと名乗っておろうに、…して、何用か?」


「アルミサエルっていう天使に言われて…」


「……はぁ、私を殺しに来たか」


「え?まだ何も言ってないのに」


「なんじゃ、違うのか?そちらの手駒なら可能だとは思うがの?」


 ガイアは俺のパーティーに目線を送る。



「あなたの返答次第…かな。…何故モンスターを操って人間を襲わせるの?」


「生態系のバランスをとるためかの」


「…は?」


「増え過ぎたら困るから減らしている。人だって同じ事を他の生き物にやっとると思うが?自分達がやられたら私を魔王だと呼んできおっての」


「人間を…管理してるとでも言うのか?」


「人だって生き物の1つに過ぎん、だと言うのに奴らは武器を作って生態系を破壊し、病も薬の開発と共に克服する。このままでは増える一方だとは思わんか?」


「…だからって、あなたに何の権限があってそんな事を」


「私の名はガイア。自然の化身。この世界の人間が自然崇拝を生業とするならば私は神にあたる。…と、それが答えで良いかの?」


「な!そん…な。ア…アーミャはそんな事言ってなかった…」


「まぁ、そうじゃろう。奴の目的は人を増やし、人を導き、文明を発達させ、自分の世界の神をここに顕現させる事じゃからの。私は邪魔というわけだの」


「そんな…じゃ…じゃあ俺はどうしたら」



『そんなの簡単じゃなーい』


 突然聞こえてきたのはアーミャの声、脳に直接声が響いてきたかと思うと今度は光とともにアーミャ本人が俺の前に現れた。


「アーミャ!おまえ俺を騙してたのか!?」


「やーん、人聞き悪くない?この魔王に苦しめられてきた人達たくさんいるんだよ?」


「くっ…、だけど!」


「だからぁ、簡単な話でしょー?人間を守るかどうかってだけの話よー?魔王は自然を守っているだけでぇ、この世界を守っている訳じゃあないのよ?魔王がいなくなっても別に今すぐに自然が壊れる訳じゃ無いし?人が増えてもちゃんと導くから安心してよ。ね?簡単でしょ?」


「それ…逆を言えば魔王が生きてても人間が絶滅するわけじゃなく現状が維持されるってだけだよな。下手に人間の住処を広げなければ魔王は人間を襲う事も無いんじゃないか?」


「まぁ、そうとも言うかな?でもそんなの関係無いのー。魔王の所まで辿り着いた功績を讃えてシンヤにかけてあるアルミサエルの祝福をレベル2に上げるね」


 アーミャがそう宣言すると俺の手元が光輝きシンプルなホイッスルが出現した。


「これは?」


「笛吹男の遺骨。骨を笛に加工したもので魔物に対して強制命令が出来る様になるよ。まぁ、魔力必要だし、シンヤの罪の魔力は僅かな嫉妬だけだから大した力は出ないけどね」


「また俺の知らない事を…、これを持たせて何やらせる気だ?」


「いや、祝福のレベル上げたらプレゼント渡す決まりだから、それはどうでも良いのよー。必要なのは祝福のもう1つの効果、私と交わした約束に強制力が働くの」


「…は?」


「ほら、約束したでしょ?魔王殺すってさ」



「…あ、そう…だ。そう…だった。魔王は…殺さないと…」


 そうだよ、何で悩んでたんだろう。魔王がいたらダメなんだよ。そうだよ、殺さないとだよね。アーミャと約束したんだし。




 ……… ……… …… …




 その後の事は覚えていない。

 目の前には焼け焦げたガイアが居て、満足そうに笑うアーミャが居た。



後味の悪い感じになりましたね。

さぁ、次はシンヤが勇者として盛大に人間達に歓迎されま…。

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