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伝説の魔物使いが死んだ後の世界がマジでヤバい  作者: しら玉草
第4章:モンスターパレード
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伝説の魔物使い5

今回はダイジェストで話が進みます。


 彼女は館にあった真っ黒なゴシックロリータの服を気に入ったようだ。

 その出で立ちはさっきまで地下に繋がれていたとは思えない程に優雅だった。


 牢屋に入る前の記憶は忘れたらしく、名前が欲しいというから夜天と名付けた。

 真っ黒な服に掛かる白く輝く髪が星を散りばめた様に見えたからだ。


「えっと、種族名はレヴァナント…アンデッドに分類されるのか。よろしくな」


 魔物使いの能力なのか、魔物の種族や特性が分かる様になっていた。

【レヴァナント】

 人間が変異したアンデッドモンスター、どれだけ体を負傷しても太陽が沈むのを合図に蘇り、主の元に帰ってくる。


 生きた状態でアンデッド化したのがレヴァナント。ということになる。

 ちなみに、死んだ状態でアンデッド化したのがゾンビ。あるいはミイラ。

 白骨がアンデッド化したのがスケルトン。

 霊体のみでこの世に残ってるのがゴースト。


 レヴァナントはかなり珍しいらしい。



 ……… ……… …… …



 そしてこれはだいぶ後にヤテンが話してくれた事だが、不死実検を行っていた館を廃墟にしたのはヤテンらしい。レヴァナントになるには高い魔力適性を条件とする。

 レヴァナントとなったヤテンが水を精製し、科学者の一人を窒息死させた。魔法を覚えたばかりのヤテンにはそれが限界だったが、他の科学者達が逃げ出すには十分だった。

 何故ならその場にはたくさんの死体が有り、そのどれもが人を怨んでいるに違いないからだ。いつどれがアンデッドとして動きだすか分からない。

  そこで全てを地下に閉じ込めて、追ってこれないように鎖で封じた。これが真相だろう。




「なるほどなー、つまりヤテンは牢屋の中からでも人を殺せたわけだな」


「まぁ…そうなるわね」


 俺達は今、人気の無い荒野を歩いている所だ。

 俺とヤテンはシオの甲羅に乗って移動しながら会話をしていた。

 ブレイドキャンサーは大きくなるのが早いのか、それともシオの成長速度が早いのか。もう大人のブレイドキャンサーと大差の無い大きさになっている。

 蟹の脚は多い、驚きの安定感でほとんど揺れない為実に快適だった。


「人が憎かっただろうに、何で俺を殺さなかったんだ?」


「牢屋の子供達と…同じ目を…してたから」


「……そっか」


 それ以上はその事について話をするのを止めた。




 仲間も増えた、俺の後ろにはゾロゾロとモンスター達が付いてきている。

 大型のモンスターも増えだしていよいよもって隠れての移動は困難を極めた。

 イエティ、グリフォン、サラマンダー、ドラゴン、ゴーレム、キメラ、ユニコーン、等々、もはや隠れるなんて不可能になっており人目に付くのは避けられない有様だ。



 ……… ……… …… …



 ヤテンと一緒にこっそり町を偵察に行くと、掲示板等で俺達についての貼り紙をよく見かけるようになった。


【モンスターパレードの目撃情報】

【~~へ向かっている模様、近隣住民は~~】

【モンスターパレードの討伐報酬が更に~~】



「うっわー、俺達凄い事になってんな」


「まぁ…実被害は無いし、そもそも…もう挑んでくる冒険者なんて…いないし、むしろ…一部では人気があるみたいね」




 実際問題、いくつか町は救った。

 しかし、その町を脅かしていたモンスターを俺が連れて行ってしまうものだからむしろモンスターの親玉扱いだ。

 …いや、パレードのモンスターについては確かに俺が親玉だと言えるけども。


 そして、俺と親しくなればなるほどそのモンスターは本来の強さを逸脱していく、姿形が変わり進化していく者も居た。


 アカボウなんて子供サイズだったのに今や俺よりも身長が高い。

 しかし不思議なのはライトだ、何も変わらないし、いまだにただ光るだけ。カーバンクルという種族以外の情報が何も無い。

 それにどちかと言うと俺よりもイナバと仲が良い。いつも一緒に行動している2つの毛玉、実に微笑ましかった。


 姿が変わらないといえばシズクも元のままだった。しかしシズクに関してはその理由は分かっている、進化を自分で拒んでいるようだ。

 最強のスライムになって全てのスライムの守護神になりたいらしい。その為には安易に巨大化の道を進みたくは無い、だなんてよく分からない主張をしていた。



 ……… ……… …… …



 時には仲間が減る事もあった。もちろん死んだ訳では無い。

 同行を強要させている訳では無いのだから離脱も自由、ただそれだけだった。


 とある高原で角兎の群れを見つけ、イナバとライトが離脱し群れの中に入っていったのだ。イナバは元々荒事には向かないし、ライトはイナバと仲が良かったから離れたくなかったのだろう。

 けっきょくカーバンクルについては全く詳細不明のままだった。





「モンスターってさ、他種族でも仲良くなれるんだな」


「急に…どうしたの?」


 そう、捕食されるような弱肉強食な関係であっても腹が満たされていれば襲わないし、一度獲物じゃないと認識するともう食べようとはしないのだ。

 そういえば昔動物番組で見たことがある。肉食獣の母親が草食獣の子供を我が子の様に愛し、空腹であっても絶対にその子を食べたりはしなかった。

 ちょっとした違いや己の欲のみで仲間を貶めるのは、知性のある生き物では人間だけだ。


「人間て、なんなのかなって」


「シンヤは…人間でしょう?私も…そうだったわ」


「じゃあ魔王ってなんだろう」


「魔物の王よ」


「俺なら、仲良く出来るんじゃないのかな」


「どうでしょうね…私も見たことは無いもの」


「魔王に会いたいな、話がしたい」


「その魔王を殺すのが…あなたの役割りでしょう?」


「仲良くなれるかどうかは、自分で見て、判断したい」


「あなたが殺されたら…どうするの?」


「あ、みんなを野に放っちゃう事になるな。それだけは心配だ」


「ふ、ふふふふ。自分の心配は…しないのね」


「みんなの中で一番頭が回るのはヤテンだ、俺が死んだらみんなを頼む」


「あら…責任重大」


「願わくばみんな仲良く一緒に居て欲しいけど、それは難しいだろうね」


「…善処するわ」



シンヤは魔王との対話を決意しました。

次回もダイジェストで話が進む予定でございます。

シンヤが町を救うとことかは完全にキラーパ◯サーですね(笑)

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