VSユニコーン2
今回は戦う前の作戦会議です。
ほぼ会話となっております。
「さて、改めて、こいつが新しく仲間になったヤテンだ。怪しいし信用出来ない奴だが何故か手伝ってくれるらしい」
朝、宿を出てとりあえず形だけでもヤテンを紹介することにした。
いきなりしてやられたし、俺も嫌みたっぷりで紹介してやる。
「あらあら…、熱烈な歓迎…痛み入るわ」
「歓迎はしてねぇよ!ヤテンのせいで寝不足なんだからな!」
「それは…おかしいわね、ベッドを破壊したのは…マヒルだったと思うのだけど」
「にゃ!?…うぅ、申し訳にゃあ…」
勘違いでベッドを粉砕したマヒルが縮こまる。けも耳が垂れ下がり可愛さ抜群だった。
「マヒルが謝る事は…無いわ。勘違いでは無くなれば良いだけでしょう?アサヒさえその気なら…抱いて…みる?」
「おいいぃぃぃぃ!何言ってんの?話まとまりかけてたのに何言ってんの!?」
「にゃあ!?ア、アサヒはそんなことしにゃあよ!…しにゃあよね?私信じとおに!」
「信じてくれてるなら斧しまってくれるかな!?」
「ふふ…アサヒは…面白いわね」
「俺で遊ぶなぁ!!」
「あ、遊びでも浮気は許さにゃあよ!!」
「違うから!」
その時、突然パンパンと手を叩く音が聞こえ、みんなそちらに注目する。
そこには珍しく怒った顔のヒイリがいた。頬を膨らませてむくれ顔だ。
いや、それ本当に怒ってる?女顔のヒイリがそれやってもギャルゲーのヒロインみたいで可愛いよ?「もー、私怒ってるんだぞぉ!ぷんぷん」みたいな。
「今回の被害者は僕ですからね?ベッドの代金も床の修繕費もかなりの痛手ですからね?悪いのこっちだから値切りも出来なかったし、むしろだいぶ吹っ掛けられましたからね!」
「悪かったわ…、私は宵越しの銭は持たないから…」
「ううー…、それは私が一番悪いに、ちゃんと確認してから暴れるようにする…」
いや、暴れないで欲しい。俺の防御力一般人だから、マヒルの一撃なんてもらったらスライムみたいに弾け飛ぶ自信あるから。
「まぁ、分かってもらえたなら良いです。でも、何でアサヒさん寝不足なんですか?ベッド1つになっちゃったけど、けっきょく僕と一緒に寝たじゃないですか」
えぇ、その通り、そしてそのせいで寝不足なんですよ?
ヒイリは見た目ほぼ女の子だからね?そのへん自覚して?ね?
寝惚けて抱き付いてこないで?ね?
「男には色々あるんだよ、ヒイリには分からない事だってあるんだよ」
「僕も男ですけど!?」
「……よし!じゃあこれからの話をしよう!」
「流されました!?」
「ヤテン、ユニコーンについて教えてくれ」
「良いわよ…、まず、ヒイリ…あなたはお留守番」
「…はい、そう…ですよね」
「オグリ…ユニコーンは弱点が無いわ、空気圧の魔法は汎用性が高い。それに、種族の特性で…状態異常も全て浄化する。自然治癒力も高くて…体力も無尽蔵ね。気候の変化にも強いから…ヒイリのアウラポッドも意味が無いわ」
「オールマイティーでオールラウンダーか、いや、それ割りと絶望的じゃないか?」
「逆を言えば…突出してるのはスピードだけ、それは私が何とかするわ」
「地形ごと吹き飛ばす空気圧の衝撃波はどうすんだ?攻撃範囲広すぎて避けようが無いんだが」
「ああ、あれは…撃たせないようにして」
「は?」
「あれは…相手と距離開けないと撃てないの、圧縮する空気が足りないから」
「ほほー、ヤテン居れば攻略本いらねぇな。…で、どうやって距離詰め続けるんだ?」
「私がオグリの機動力に制限をかける…、あとはアサヒがその中で頑張って」
「アバウト!一番大事なとこアバウト!」
「あ、そうそう…ジャベリンは意味無いわ、動くのに邪魔なだけだから置いていきましょう」
「あぁ!分かったぞ!?俺が魔法撃てるまで避け続けて粘れってことだな!?ユニコーンの体力は無尽蔵だとか言ってたくせに!」
「…頑張ってとしか…言えないわね」
そんな会話をジーッ見つめるマヒル、前回あまり活躍の場が無かったから自分の役割りを知りたくてソワソワしてるのが見てとれる。
「ああ、マヒルにも…アサヒと一緒に戦ってもらうわ、マヒルは質量の塊だから…オグリの魔法で吹き飛ばないくらい重いし、きっとオグリの防御も突発出来る」
「斧!重いのは斧だから!私はそんなに重くにゃあよ!!」
「…そういうことにしておくわ」
「にゃあああ!!」
次回はユニコーンとの2戦目に突入していく予定です。
はてさて、アサヒたちは勝てますでしょうか。
そしてヒイリの解説役はヤテンに取られてしまうのか!?




