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伝説の魔物使いが死んだ後の世界がマジでヤバい  作者: しら玉草
第3章:レイジングテンペスト
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ディブロス冒険者ギルド

お気に入りユーザー様よりツノウサギの食レポやってほしいと言われました。

…が!流れ的に無理でございます!申し訳ない(爽)


 町に着いてまず目に付いたのは塀の多さだった。そもそも町自体に塀が設けられている。

 全体を覆うゴツいものでは無い。適度に開いた隙間は風を打ち消す為の物だろう。

 風通しの良い場所だから突風が吹く事もあるのかもしれない。


 観光客が見当たらないせいか、そんな町並みにばかり目が向いてしまう。

 ここは観光地では無かっただろうか?どうにも寂しく閑散としている。



 そして、そんな中、次に目に付いたのは看板に書かれた文字。

【ツノウサギの肉、あります】



「食うのかよ!」


「え、いや、増えすぎても困りますし。数の管理も大事なんですよ」


 ヒイリはここには何度も来ているようで特に驚いた様子は無い。


「と言うか、ツノウサギ見に来る観光客がツノウサギ食べるのかよ!」


「半々のようですよ。だからこういった飲食店は人目に付きにくい場所にあります。もちろん普通の飲食店は表通りにありますけどね」


 俺たちはディブロスの冒険者ギルドに向かう為少し奥まった場所まで来ていた。塀の多さも相まって確かに人目には付きにくい。

 肉食べに来る人は動物園感覚では無く牧場感覚なのかもしれないな。

 養鶏場でから揚げ食べる感覚、それなら理解出来なくも無い。



「なるほどなぁ、でもあの可愛い姿見た後で食べようとは思わないなぁ」


「だ、いくら仲間が美味しそうに食べてても私は食べれんにゃったに」


 これにはマヒルが強く賛同してくれた。



「仲間が食べるのは許せるんだ?」


「食べにゃあのを正義だと思うんは傲慢なことだと思うに。牛は良いけどウサギはダメ…なんておかしいに。だからこれは私の我が儘」


「じゃあ可哀相だからって肉全く食べない人の事はどう思う?菜食主義とか」



 話の流れで気軽に聞いてみたけど地雷だったか?マヒルの表情が少し怖い。


「可哀相って理由ならそれは偽善だと思うに。人は生きとお限りは絶対に他者を食らうに。植物だって生きとおよ。無抵抗で文句言わにゃあ生き物狙っとおだけやに」


「お、おおふ、随分と辛辣ですな」


「私たちライオルトは肉食にゃからね、そういう輩に説教される事もあってうんざりしとおよ。それにライオルトは植物も食べるに、繊維とらにゃあとお腹壊すに」


 ああ、猫草みたいなものか。ここで「毛玉吐くの?」とは聞かない方が良いだろう。


「吐かにゃあよ!」


「やっべ!口に出してた!ごめんなさい!」


「もー!アサヒはほんとにもー!」


「軽率な発言はしないよう以後気を付けます」


「だ!」




 ◇  ◇  ◇




 ディブロスの冒険者ギルドに着いた俺たちはさっそく小魔王の情報を集める事にした。

 ディブロスの冒険者ギルドもクックウェン同様に酒を飲む人や冒険の戦利品のやり取り等をしていた、これだけ居るんだ、情報はすぐに集まるだろう。



 まぁ、結果を言ってしまえばそれはすぐに見つかった訳だが、しかしそれは冒険者からでは無かった。掲示板に貼られた依頼の中に大きくて目立つ物が1つ。



【一角獣の調査】

【人よりも大きな一角獣の目撃があった為調査願う】

【正体を暴いた者には2000C】

【捕らえた者には5000C】【生死問わず】

【小魔王のユニコーンだった場合には500000C】

【町が出せる金額ではこれが限界であるため他に要望があれば相談されたし】



「50万カッパー!?スライムの5倍かよ」


「んにゃ、それでも足りにゃあから他の要望も呑むって言っとおみてゃーね」


「全然足りませんね。ユニコーンは勇者の最終パーティですよ?1体だけで国だって滅ぼす程の強さだと聞いています。町1つくらい簡単に潰すでしょうね」


「マジかよ…、無理ゲー通り越して糞ゲーの域だな」


「ゲー??よく分かりませんが…。熟練の冒険者ですら100万カッパー積まれても嫌がるレベルだと思ってもらって良いと思いますよ」


「それを50万カッパーで、か」


「観光客が見当たらないのもユニコーンの噂が原因でしょうし、ここが国の重要拠点だったら賞金額も国が出してくれるかもですが…、まぁ、出してくれたところでユニコーンに勝てる人はいませんけどね」



 状況を整理すればするほど絶望感しか無い。

 それを俺に倒せと?理解できないわ…。男子高校生だぞ俺。



「あ、でも調査依頼ってことはまだ小魔王のユニコーンだって決まった訳じゃ無いんだよな。とりあえず依頼は受けようぜ。正体が違えばこの町も安泰だろう」


 もしユニコーンでも俺ならパルクールで逃げれそうだしな。


「だ。初めからその予定で来とおからね」




 3人で受付のお姉さんの所に行き一角獣の調査に行く事を告げる。

 すると受付のお姉さんは一瞬驚いた顔をした後、あろうことか泣き出してしまった。


「本当に?…本当にあの額で見に行ってくれるんですか?あ、ありがとうございます…ぅぅ、ぐすん、ありがとう!本当にありがとう!」


 歳は20くらいだろうか、お姉さんはどちらかと言うと凛々しい印象だったのに子供のように泣き出してしまい逆に申し訳ない事をしてる気分になってしまった。



「ま、まあ。とりあえず見に行くだけね。小魔王じゃない可能性だってあるし、ね」


「ぐす…ありがとう…ございます。ここの冒険者たちときたら目撃現場に近付くことすら…うあーん、おまえらそれでも冒険者かー!」


 周りを見渡すとギルドに居た連中みんな顔を背けて黙ってしまった。

 体に生傷だらけの屈強な男ですら縮こまり小さく見える。




「まあまあ、お姉さん、落ち着いて。ね」


「ぐす…、町の一大事なのに…、ぐす…ぐすん」


「大丈夫、俺が見てくるから、落ち着いて」


「は、はい。お見苦しい所をお見せして申し訳ないです…、あの、ところで」


「はい?」


「年上の女性ってどう思います?」


「へぇ!?」



 受付のお姉さんの目がキラキラと輝き頬が紅潮している。

 これあれだ、お姉さんの目には俺が10割増しくらい格好よく見えてるやつだ。


「え、えっと、その、俺、と、歳はあまり…」


「本当ですか!?」




「アーサーヒー!」


 名前を呼ばれて振り返るとマヒルが笑顔でこちらを見つめてくる。

 その…、笑顔なのに目が笑って無いです。恐いです。


「あ、ああ。うん。そろそろ行こうか。あははは」



 マヒルに手を引っ張られてギルドの出口に向かう。ヒイリは一礼した後に付いてきた。



「あの!私はリリアっていいます!また来てくださいね!」



 俺の手を握るマヒルの力が強くなったのを感じた。

 あの…、痛いです。




さぁ、次は一角獣の正体を見に行く回となります。

果たしてユニコーンなのかどうか。ご期待ください。

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