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VSカルキノス3

今回はカルキノス戦前夜から戦闘開始までとなっております。

ラブコメ回じゃありませんよ!?断じて違います!


 無事に毒袋をゲットした俺たちはダイザミの町に戻っていた。



 日も落ちかけてはいたが一日も経っていない、だというのに町の様子がおかしい。

 町人たちが何やらざわついているのだ。まぁ、その原因はすぐに分かったのだが、それは俺たちまでも困惑するものだった。



「カルキノスが…いない」


 前は町からでも遠目にカルキノスの一部が見えていたのに、今ではその姿が消えていた。


「カルキノス、逃げたのか?」


「いにゃぁね」


「思わぬダメージを受けて驚いて逃げた…、いや、伝説の勇者と冒険してたようなモンスターがそんな事で逃げるかな…」



 それにどうにも違和感があった、あの辺の地形ってあんなに木が少なかったかな…。



「見に行くか…」


「んーん、夜は危にゃあよ、私は夜目が利くけど、アサヒとヒイリは沼に落ちるに」


「あ、いえ、エルフも割りと夜でも見えるんですよ。落ちるのはアサヒさんだけです」


「ぐぬぬ…」



 種族の壁はズルい、人間てかなり不利じゃないか?


「大人しく明日にするに」


「…そうだな」




 ◇  ◇  ◇



 この日は大人しく寝る事となった。部屋はもちろん二部屋だ、マヒルで一部屋、俺とヒイリで一部屋。まぁ、金はあるんだから妥当だろう。…ヒイリの金だが。


「あはは、僕と同じ部屋でごめんなさい。マヒルさんと同じ部屋が良かったですか?」


「もちろんだ!…と、言いたいところだが、マヒルと同じ部屋だとドキドキして緊張するんだよ、ヒイリと同じ部屋で良かった」


「それは良かったです。余計な事しちゃったかと思いました」


「ははは、もう寝ようぜ」



 …… …


 隣のベッドで寝るヒイリ、なんでこっち向いて寝てるんだ。いや、俺もヒイリの方向いてるけどさ。あいつ本当に男か?寝顔めっちゃ可愛いんだが…。

 良い夢でも見てるのか、たまに笑顔になるのが堪らない。


 いや、いやいやいや。無いよ?そんな趣味無いよ?

 でもさ、たまに聞こえてくる寝息が女の子みたいで…、いや!無いよ!?


 いや、いやいやいや。


 目が…冴える。



 ……… …… …



「あ、アサヒさん。早いですね。おはようございます」


「おう…」


「あれ?眠そうですね?」


「おかげさまでな」


「へ?」


「…気にすんなし」


「あ、はい」


 まだ朝早い、ヒイリに断りをいれもう少しだけ寝る事にした。



 ……… …… …



「あ、アサヒ。やっと起きたと?」


「アサヒさんは病み上がりで動いて疲れてたんですよ。しょうがないです」


「だ。それでもまだ昼にもなってにゃあし、時間的には問題にゃあね」



 よし、そういう事にしておこう。


「そう、ちょっと疲れちゃってね。でももう大丈夫!カルキノス見に行こうぜ!」




 ◇  ◇  ◇



 カルキノスの住み処、旧ダイザミへ向かう途中、違う場所へ来てしまったかのような錯覚を覚えた。いや、場所は間違えていない、間違えているのは地形の方だ。


 旧ダイザミの街の残骸が無い、本来ならもう廃墟が見えてもおかしくない所まで歩いてきているはずだ。


 しかし、目の前に広がるのはまるで干潟ひがたかと見間違うほどに広大な泥の沼。足を踏み入れれば自分の重みで沈んでしまう程に軟らかそうだ。

 そしてたくさん生えていた樹木は薙ぎ倒され泥の沼に浮かんでいる。正確には砕かれた樹木のうち比較的面積を多く有する物だけが浮かんでいるといった状態だ。


 その泥の沼は湖と呼んで良い程に広く、巨大なカルキノスですら収まってしまいそうだ。



「…なぁ、これ。もしかしてカルキノスが耕したのか?」


 考えられる答えはそれしか無かった、それはつまり…。


「そしたら…カルキノスはこの泥の…」


 俺はその推測に無言で頷いた、これは不味い事になったかもしれない。

 おそらくカルキノスはこの泥の中に潜っている。ダメージを与えた俺を強敵と認識して自分に有利な土地を自分で作り上げたのだ。




「こんなの…どう戦えばいいんだよ」


「引き摺り出すしかにゃあかなぁ」


「どうやって?」


「私が囮になるに」


「そんな!危ないよ!それにマヒルの重さじゃ絶対沈むよ!」


「おもっ!?」


「ああああ!違う!斧!斧が重いんだよ!」


「斧!あー、斧!敵地で手離す訳にもいかにゃあし仕方にゃあね」


 まぁ、マヒルの体格なら斧を差し引いても俺より重いかもしれないが、それは言わないでおこう。マヒルは意外と乙女なとこあるからな。

 俺としてはマヒルの健康美は非常に性欲を駆り立てられ…、いや、何でも無いよ?




 試しに俺も泥に足を乗せてみるが見事に沈んでいく。沼と土を混ぜ合わせた泥は想像以上に軟らかい。浮かんでいる木片を足場にするしか無さそうだ。

 それにしてもパルクール持ちの俺なら移動は容易いが、今回マヒルは来ない方が良いだろう。確実に沈む。俺一人で行くしかないか。



「僕がカルキノスを誘きよせましょうか?」


 なるほど、ヒイリなら軽いしいけるかもしれない。…しかし。


「ヒイリはカルキノスの攻撃避けれるか?」


「…高確率で、死にます」


「だよなぁ。ヒイリは後方支援、マヒルは陸地で待機。ここは俺に任せてくれ」



 ここは覚悟を決めるしか無い、そう思うと体力と気力がみなぎる気がした。

 これが生命の闘衣による力、魔力が発生したという事なのだろう。

 俺の罪の魔力、怠惰。アーミャは俺が本気になれば怠惰の罪が償われ魔力が発生すると言っていたが、やっとその感覚が理解できた。


 どれくらいの効果があったかって?そうだな…、レッド○ル飲んだくらいの効果かな。

 もちろんテレビCMのような比喩表現の方では無い、リアルな方だ。


 …効果ショボ過ぎるだろう。俺の本気度が足りないのか?小魔王を一人で相手にしようっていう決死の覚悟だったんだぞ?罪の魔力ハードル高過ぎないか?



「アサヒ、無理はしにゃあでね」


「おう、無理だと思ったら逃げるさ」


「だ。…絶対だよ」



さぁ、始まりました。カルキノス戦第二幕です。

カルキノスは自らの脚で旧ダイザミを破壊しました。

鋭利で巨大なスコップを十本持っているようなものですからね。

土地を耕すくらいすぐでございます。

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