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キャンサー道楽2

おまたせしました、グルメ回です。

美味しそうに表現出来てると嬉しいです。


 席に戻ると机に盛られた沢山の蟹に唖然としてしまう。いや、これは本当に蟹なのか?皿の様に巨大な殻、ブロック肉の様な大きな身。

 机にはナイフとフォークが置かれている。身を切り分けないといけない程大きな蟹なんて元の世界では考えられない。

 そして何よりも、殻から身を取り出して食べるという作業がいらない!蟹の身は既に取り出されており、砕いた殻を皿代わりに山の様に盛られているのだ。


 最初は…やはり刺身でしょう!


「んん!?あまっ!なんだこのしっとりした上品な甘さは!」


 薄い桜色混じりの白い刺身は光を反射しキラキラと光り輝く、口に入れると普通の蟹と比べたらやや淡白ではあるが蟹独特の旨味と甘味が押し寄せる。

 やや淡白であるとは言ったが決して大味では無い、むしろブレイドキャンサーの大きな身を頬張るのに適した味だと言える。


「んー!んー!これ!これ美味しいですよー!アサヒさん、僕これ好きです!」


 ヒイリもご満悦だ、ここまで観光に来たかいがあったというものだろう。

 蟹は黙って食べるものだって?いいや、もくもくと殻を剥く作業はいらないのだ、思う存分食べて喜び合うのがむしろブレイドキャンサーへの礼儀というものだ。



「あー!もー!二人ともずるいにゃあ!私も刺身食べたいにゃあ!」


 ライオルト族、猫科の獣人であるマヒルは蟹の刺身は食べない方が良いらしい、なんでも体に必要な栄養素を損なって体調不良になるんだとか。


「あはは、焼いたやつもきっと美味しいよ」


「むー、なんか損しとお気分にぃ…………んにゃ!?」


 マヒルの前に置かれた焼き蟹、それを一口食べたマヒルの目が大きく見開く。


「んみゃあ!ほどける旨味が香ばしくて、んみゃんみゃ!」


 焼き蟹を次々と口の中へ頬張るマヒル、機嫌を直してくれたのは良いけどあのペースで食われたら俺の分が無くなってしまう。俺だって焼き蟹食べたい。


「あ!マヒル!俺の分も残してよ!?」


「んみゃんみゃんみゃんみゃ!」


「あ、あー…」


 尋常じゃない速度で減っていく焼き蟹、人間には不可能な速度だ、獣人の顎と喉強すぎる。


「あはは、アサヒさん大丈夫ですよー、まだまだ素材ありますから、追加注文しましょ」


 まぁ、そういうことなら次のが焼き上がるまで我慢するとしよう。



「ああ、そうだ。まださっきの質問の答え聞いてなかったよな」


「え?あ、ああ。なんでカルキノスのおかげでこの町が栄えたか、でしたね。それは…」



 俺とヒイリは食べながらも会話を続けた、お行儀は悪いかもしれないがヒイリも気にしていない。この世界は元々お行儀の良い世界では無いのだろう。


 要点を纏めると、元々この土地は二つのモンスターが勢力争いをしていたらしい、ブレイドキャンサーと…デッドリーポルカドット。

 生き物としてはデッドリーポルカドットの方が強く、ブレイドキャンサーはむしろ捕食対象だった。高い拘束力と強靭な歯、そして何より強力な毒を使ったという。

 しかしブレイドキャンサーの方が数が多く、鋭い鎌はデッドリーポルカドットを追い払い、時には切り裂いて反撃した。両者の勢力は拮抗していたらしい。


 そこに現れたのがブレイドキャンサーの進化形態、カルキノス。伝説の魔物使いである勇者が残した『勇者のはらから』、小魔王である。

 最強クラスまで進化したカルキノスにはデッドリーポルカドットでは全く歯が立たず次々と逃げ出した、その結果天敵の居なくなったブレイドキャンサーが増えに増えた。


 しかしカルキノスは何をするでも無く旧ダイザミの廃墟で佇むのみ。ちょっかいを出さない限りは攻撃してこず、新ダイザミに攻め込んで来る事は無かった。

 それを遠目に見たがる観光客が増えた。まずこれが一つ目のご利益。


 そして次に、増えまくったブレイドキャンサーをどうするか。幸いにもブレイドキャンサーはそこまで強くは無い、数人で協力すれば倒せるモンスターだった。沼からの不意討ちにさえ気を付ければ恐くは無い。

 ブレイドキャンサーの鎌や殻は装備品や日用品でも重宝される素材だ、冒険者が集まり町は大いに賑わった。これが二つ目のご利益。


 そして三つ目のご利益、それこそが一番の利益、食べてみたら美味かった!このグルメ食材を求めてたくさんの観光客がやってきたのだ。




「ほほーん、まぁ、だいたいそんな事だろうとは思ったよ」


「ですよね、この賑わいを見ればあらかたの予想は出来ますもんね」


「ところで、そのデッドリーポルカドットってのはどんな奴だったんだ?」


「丸い頭部から脚が八本生えてて自在に動くんですよ、脚の付け根に口が付いてるグロテスクなモンスターです」


「ん?それって…」


 タコ…だよな?あー、そうか、そう言えば元の世界でも蟹の天敵はタコだったよなぁ。なんか納得だわ、大きくて毒のあるタコで間違い無いだろう。




「ふぅー、もう満足にゃあ、んみゃかったー」


 マヒルの前に積まれた蟹の殻が食べた量を物語る。殻は皿として使われてるだけだから実際は見た目以上の量になるだろう。


「そうか、そりゃ良かった。俺も満足だよ」


 蟹は美味しかったし、満足そうなマヒルの顔もとても可愛いし、言う事無しだ。


「で、アサヒ、今回はどおするに?たぶん討伐依頼にゃあよ?タダ働きになるにゃ」


「へ!?…あ!そうか、そうだよなぁ、逆に倒してほしくないだろうしなぁ」


「しかも悪さもしてにゃあからね、どおすると?」


「んー、今回は…あ…?やめ…えーと、まず偵察だけでもしておこう…か」


 今回は敬遠しても良いはずだ、無理に戦う事は無いと、自分の中ではそう判断したはずだった。しかし自分の意思を何かに修正されたような、そんな気がした。


「そおにゃね、本当に危険はにゃあのか調べにゃあとにゃ!」


「お、おお!それだよそれ!うん、やっぱ不安はあるもんな!」


 そうだ、きっとその不安が俺の意思を無意識に変えたに違いない、俺は良い奴だからな!


「じゃあ明日出発にゃ、ヒイリも会計終ったみてゃーだし、そろそろ店出るにゃ」




 店を出た俺を寒気が襲う、それは気温のせいなんかでは無かった。店の入り口、ドアの外にゴスロリ服の女の子が居た、あの電波さんが俺を待ち伏せていた。

 これはあれだ、見てない振りをして遠ざかろう。それが一番賢い選択だ。


「あの子があそこまで大きくなったのは…勇者と別れた…後」


 え!?この子何言って…、あの子?あの子ってまさか…カルキノスの事か?

 気になる物言いに俺の足が止まる、この電波女は何を知っているんだ?


「旧ダイザミは、あの子と勇者が…出会った場所」


「それは…どういう…」


「小魔王は敵よ…間違い無いわ…、でも…よく考えて」


 そう言うと女の子はどこかへと消えてしまった。




いやはや、キナ臭くなりましたね。

元はダークなのやホラーっぽいの書いていたもので(笑)


あ、ドラ○エっぽさから入りましたがこの話はド○クエ関係無いです。

ドラク○っぽさとモ○ハンっぽさとあと一つ、あるゲームぽさも出したくてですね。

まぁ、どれもストーリーとの関係性は無いのですが(笑)

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